豊かな資源大国の日本

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今日10月11日から、29日まで、COP10の国際会議があります。
COPとは「Conference of the Parties」の略称で、今回はその第10回目。
主な内容としては、カルタヘナ議定書に関する会議が5日間有り、
そのあと生物多様性条約に関する会議が12日間に渡って行われます。
最初に行われるカルタヘナ議定書は、知らない人も多いでしょうが、
遺伝子組換え生物等バイオテクノロジーにより改変された生物を扱うもので、
こうした取り決めで、すでに多くの改変生物が出回っていることが知れます。

主役はもちろん、生物多様性条約=Convention on Biological Diversityですが、
この条約は1992年5月に採択され、リオデジャネイロ・サミットおいて署名、
翌1993年12月29日に発効し、2009年末現在193の国と地域が締結しています。
この条約の目的は、次の三つとされています。
(1)地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること
(2)生物資源を持続可能であるように利用すること
(3)遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること
これらの課題を、地球規模で解決していこうとするものです。

さてこの生物資源、ひいては自然環境資源に関して言うなら、
日本は世界的にも有数な多様性を誇り、豊かな資源国と言えます。
例えば昨日のNHKスペシャルでも紹介されていたとおり、
日本近海の海は、南の珊瑚礁から北の流氷の海まで多様性に富んでおり、
こうした自然界の多様性のもとに、豊かな海洋資源に満ちています。
それは食料としての、魚や貝や蟹や海草類の資源であると同時に、
エネルギー源としての、潮流や波動温度差に富んだ豊かさでもあるのです。

昔の日本では、この国は資源がないから海外から資源を輸入して、
それを工場で加工生産し、製品を輸出して成り立つ貿易国を目指しました。
ところがそうした大量生産や大量消費の社会は、弊害が目立つようになって、
環境破壊による生物資源の減少が深刻になると、これを保全する必要が生じます。
日本だけでこうした環境破壊を止めようとしても、物流の国際化が進んでおり、
一国の努力では、どうにもならないところまで来ているのは明らかです。
そこで国際会議によって、世界各国共通の取り決めをするのがこの条約です。

それはそれでいいのですが、こうした条約が必要になる社会の方向転換には、
なによりもまず、生物資源の前提である自然環境を破壊しないことが必要です。
枯渇資源である石油や天然ガスなどを使って、地球を温暖化させるのでなく、
いくら使っても減ることのない、自然エネルギーを利用することで、
環境悪化を起こさない社会の在り方を、模索していくことでもあるのです。
今回のCOP10が名古屋で開催されることで、日本人の環境意識が高まり、
経済拡大で環境破壊を続ける社会から、循環型社会に転換していただきたい。

新しい科学技術のおかげで、日本は資源に乏しい国ではなくなって、
これからさらに豊かな社会を創る、条件は揃ってきたと言えるのです。
この豊かさを実現するためには、何よりも恵まれた自然環境を大切にして、
海や川の自然エネルギーを利用し、山里や河川扇状地の肥沃な生命環境を守り、
毒物に汚染されない、清く美しい国土を守っていく必要があるのです。
日本の未来の豊かさは、自然の豊かさの中にこそ求められるべきでしょう!