課題は、経済成長からの脱皮?

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これ以上経済成長を目指せば、環境破壊は取り返しがつかなくなる!
さらに有利子金融によって、貧富の格差は止めることが出来ない!
それでいて多くの国がいまだに経済成長を目指す、袋小路の閉塞時代に、
新しい世界を切り開く世界の思想は、どのように存在するのか?

現代世界を成長神話の滅亡から救う、最も深刻かつ緊急の課題に対して、
先進的で刺激的な世界思想の流れを象徴する、コチャバンバ合意に関しては、
すでに5月21日のイソップ通信で、その内容を皆さんにご紹介していますが、
http://blogs.yahoo.co.jp/isop18/60749293.html
そのとき紹介したフランスの動きが、また少し明らかになりました。

フランスでは「貧困の終焉」と題した、脱グローバル化の映画が公開され、
現代社会の経済成長神話に対して、のっぴきならない疑問を突きつけています。
同時にフランスでは、2008年10月国会で、緑の党の議員が経済の縮小を主張して、
「もはや成長を追い求めることは、反経済的で、反社会的だ」と発言しています。

そのときの国会では、ヤジを浴びただけで、取り合ってもらえませんでしたが、
この考えはジワジワと多くの政治家に影響を与え、真剣に議論され始めたのです。
その思想に大きな影響を与えた、フランスの経済学者であり哲学者でもある、
セルジュ・ラトゥーシュ(写真)さんが、まもなく日本に来日されると聞きました。

ラトゥーシュの講演会の日程は下記のとおりです。
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 7月5日(月)18:00~、日仏会館
 7月6日(火):16:45~、明治学院大学国際学部講演会(戸塚キャンパス)
 7月7日(水):12:30~、国際基督教大学社会科学研究 所講演会(三鷹
 7月8日(木):18:00~、龍谷大学経済学部講演会(京都深草キャンパス)
 7月9日(金):18:00~、東京のATTAC JAPAN主催のミニ講演&討論会
 7月10日(土)・11日(日)~、日仏会館シンポジウム
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それぞれ主催者も違うので、詳細はよくわかりませんが、
7月9日の討論会に関しては、情報サイトがありましたので紹介します。
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/1277733331015staff01

フランスのジャーナリスト、エリック・デュパンは、
「経済成長からの脱皮を思考する人々」と題した文章の中で、
http://www.diplo.jp/articles09/0908-4.html
次のように力強い提言をしているので、最後の部分を転載しておきます。
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そこから透けて見えるのは、「良い暮らし 」という哲学的問題だ。技術的進歩の
力学に引きずられた経済発展にかわり、民主的な裁定の論理を打ち立てるということだ。
哲学者のパトリック・ヴィヴレは、縮退の根源的な問いかけに関心を示しつつも、その答えには
賛同しない。そして、全体主義という失敗例があるからといって、「幸福を政治的問題として
提起するのを禁ずる」べきではないと言う。「福祉の向上という問題を民主的に提起することを
拒否するのであれば、何に依拠して、現在の経済発展の方式を非難する思考を確立できるという
のだろうか」と。自由主義者であれ、社会主義者であれ、進歩主義者たちには共通点がある。
物質的な豊かさの増大を追求し、幸福の問題を私的な領域に押し込めてきたことだ。我々は自然の
物質的限界に直面しているが、もし人類社会の組織化の目的が、そのような物質主義的な想定を
超え出ることができるならば、めくるめく未決の政治空間がそこには開けていくことになる。
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日本でコチャバンバ合意に関心を示したのは、残念ながら日本共産党だけでいたが、
これを機に、多くの人が「脱成長」に関心を持って、新しい議論が広まることを期待します。
マスメディアも、サッカーばかりではない南米の動きも紹介してほしいものですが・・・