コチャバンバ合意

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最近世界の新しい思想や、政治的な流れの中で、
マスコミによる情報検閲が高度化した日本では知らされない、
興味深い動きがありますので、その一つを紹介します。
それは欧米から見れば、急進左派とも言われる政治家の台頭で、
反米・反グローバル化を掲げる、ボリビアのモラレス大統領や、
ベネズエラチャベス大統領の活動に代表されるものです。

中でも今年の4月22日に、ボリビアコチャバンバで開催された、
「気候変動および母なる大地の権利に関する世界民衆会議」は、
なぜ反米・反グローバルなのかを明確に示し、注目されたのです。
こうした動きは、チャベスやモラレスが大統領になった時点で、
その選挙公約でさえあったのですから、始まってはいたのですが、
世界的な合意を求めた点で、今回の会議は画期的だったと言えます。

それでは、この会議では何が求められたのか?
この会議を詳細に報告しているNGO「ジュビリー関西ネットワーク」の
公式ブログ記事と、気候変動民衆会議・合意文書 全訳から見てみます。

会議の様子は、公式ブログを見ていただければいいのですが、
http://d.hatena.ne.jp/Jubilee_Kansai/20100514/1273816970

そこにリンクされている、開発と権利のための行動センターによる、
「気候変動民衆会議・合意文書 全訳」の内容から少し考えてみます。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/04/post-c4fb.html

まずこの中で、いくつかのキーセンテンスを抜粋してみました。
 
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◆私たちは産業革命以来加速化された、人間と自然の従属と破壊に基づく、
 家父長的な文明モデルの終着的な危機に対峙しているのです。

◆人類は資本主義の道を続け、略奪と死を選ぶのか、自然との調和と
 命の尊重という道へ踏み出すのか、大きな選択を迫られています。

◆私たちが支持するモデルは、破壊的な際限なき開発ではありません。
 それぞれの国々は、人々の基本的な必要を充足するために財やサービスを
 生産する必要がありますが、それはこれまでの豊かな国々が目指してきた
 開発の道を続けるものではありません。

◆金銭経済的な補償のみに焦点を与えるのではなく、修復的司法の適用、
 地球の生命共同体を構成する人々や仲間の統合性を回復することが必要です。

◆人々は気候変動の影響を前に、等しく防衛する権利を有します。
 気候変動に対する「適応」という概念を拒否します。それは先進諸国の歴史的な
 排出によって引き起こされた影響を忍従させるものですが、地球の危機を前に
 その生活スタイルや消費スタイルを適合させるべきは先進諸国なのです。

地球温暖化を止める、地球を冷やすという、人類にとって大きな課題は、
 農業を根幹から変換することでのみ実現されるでしょう。農民や先住民族による
 持続的な生産モデル、エコロジカルな伝統的実践やモデルに基づく農業によって、
 気候変動問題の解決に貢献し、また食料主権を確立することができます。

◆先進諸国の責任は、開発途上国と技術を共有し、独自の技術開発や革新のために
 研究機関を設置すること、「善き生き方」のための開発や適用を促進し擁護すること。
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これらはどれを取っても、僕らが普段から主張していることと、ほぼ同じなのです。
それぞれの文章は、合意文書全体の中ではもっと詳しく書かれていますので、
興味を持たれた人は、一度全訳を読んでいただければさいわいです。

ともあれ、こうした新しい考え方は、すでに世界中に広がっており、
今年6月の東京平和映画祭でも上映される、マイケル・ムーアの「キャピタリズム」や、
フランスでも、資本主義を脱しないと人類に未来はない!と訴える映画公開がありました。
日本が戦争中毒アメリカに追従して、膨大な借金を膨らませているあいだに、
世界はアメリカ型グローバリズムを否定し、大きく様変わりしようとしています。

最後は軍事力頼みのアメリカに、どこまでついていくのか?
僕らは普天間の問題からも、新しい道を探る必要がありそうです。
 
 
写真は左から、ベネズエラチャベス大統領、ブラジルのルーラ大統領、
そして右端がボリビアのモラレス大統領で、コチャバンバで撮影されたものです。