世界に一本しかない種類の桜

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ジョウキョウジテマリザクラ(浄教寺手鞠桜)をご存知でしょうか?
富山県内の人は、テレビ新聞のローカルニュースで紹介していましたから、
けっこう知っている人もいると思いますが、ともかく珍しい桜です。
姿形は、八重咲きの手鞠桜ではあるのですが、何が珍しいかと言って、
どうやらこの桜は、他に同じ種類の木が一本もない固有種らしいのです。
同じ種がまったくない、世界に一本しかない種類の桜木だなんて驚きます。

ラジオを聞いて知ってから、一度見てみたいものだと思っていて、
ちょうどそろそろ満開に近いと計算して、車を飛ばして行ってみました。
八重咲きの手鞠桜は、山桜の一種でもあり、花と葉が一緒に咲きます。
そのためか、他の桜よりも2週間ほど送れて咲き始め、長く咲き続ける。
すでにソメイヨシノなどは、すっかり花を落とした緑の木ですが、
八重桜や山桜は今が盛りの満開で、ちょうど見頃になっているのです。

なにしろ連休中なので、混んでいるとイヤだから、時間を考えて、
ちょうどお昼時なら、もう花見でもないから人はいない!と判断です。
場所は福光へ向かう途中の山沿いなので、観光渋滞にも遭わずに済む。
カーナビはないので、前もってチェックしておいた地図を頭に思い描いて、
順調に走っていったら、北陸高速道路の渋滞が遠目に見えていました。
この好天と高速道路料金の割引で、砺波市は県外車が溢れています。

人が集まっているところへ向かって、さらに集まっていく人たちは、
いったい何がそんなに面白いのか、僕には全くもってよくわかりません。
そして花見時にはあれだけ大騒ぎした、珍しい桜のある浄教寺へ行くと、
少しくらいは人がいるかと思ったら、誰一人いない静かな状態でした。
人々はおカネを使いたくてしょうがないので、無料の所には来ないのか?
ともあれ、おかげさまで僕はゆっくり境内を歩いて写真も撮れました。

砺波平野は、古くは庄川の氾濫による洪水で肥沃になった土地なので、
平安の頃に荘園だった場所も、高台の山際に位置することが多いのです。
そして高台が続く山際の一帯には、古いお寺がたくさん並んでおり、
浄土真宗を中心とした、信仰心が人の心を形成している土地がらでもある。
そんな長い歴史のどこかで、この桜は植えられ、成長してきたのです。
いかにも控えめな色合いながら、近づいてみれば豪奢な手鞠桜なのです。