小水力を利用したエネルギーの地産地消

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南砺市の「市民共同発電シンポジウム」として、
水力発電で地元の電力を賄おうとする取り組みの紹介と、
その実例などを交えて話し合う、催しがありました。
なるべく小さな範囲での、エネルギーと食の自給自立は、
差別を生まない、平和で持続的な循環共生社会には不可欠で、
食と同時にエネルギーにおいても、具体化が見えてきたのです。

まずは、こうした取り組みに積極的な田中市長の挨拶があって、
テレビ朝日で紹介された、土の橋本さん宅における水車発電を紹介。
それから富山国際大学 子ども育成学部教授 上坂博享さんによる、
「古くて新しい水車の時代へ」と題する講演がありました。
上坂さんは、富山県小水力利用推進協議会の理事でもあり、
この協議会では僕の友人も、小水力発電の研究をしています。

水力発電などによる、地域電力の自給が実現すれば、
原発など必要なくなるだけでなく、農村地帯の経済が改善され、
農家が電力会社や石油会社におカネを支払う必要もなくなります。
その具体例が橋本さん宅の水車発電で、この発電によって、
橋本家では車も電気自動車にして、燃料を賄っているのです。
橋本さんは農家なので、僕が理想とする食とエネルギーの自給です。

この個人家庭による先進事例の他にも、富山県内を見渡せば、
土地改良区による既存の小水力発電所が、すでに4カ所稼働して、
たしかな実績を出しつつあるのも、報告されていました。
南砺市には、あたらに着工予定の小水力発電所もあるようです。
しかしながら大きな問題が、「買い電」と「売り電」の価格差で、
今のところ、電力会社から買えばおよそ25円/Kw の電力が、
売っても10円/Kw にしかならない問題があるのです。

電力価格が国の政策で、自由に決められない現状を見れば、
この国は国策として、自然エネルギー利用を阻止しています。
個々人が自立的に参加する、自然なエネルギー創出よりも、
危険で膨大な費用のかかる原子力発電の方が好きなのはなぜか?

これが国策で自然エネルギー利用を促進するドイツなどでは、
自然エネルギー利用の電力は、割高で買ってもらえるため、
一気に自然エネルギー利用が進んで、小水力発電も盛んなようです。
右側の写真のように、風景にも溶け込んだ個人の発電が盛んで、
国策が定まった近年では、一年で300ヶ所以上の水車が増設され、
2006年の調査でも、7700ヶ所くらいあるとのことです。
ちなみに日本では、今ある全部を合わせても500ヶ所くらいとか。
ドイツよりも遙かに豊かな水資源がありながら、未開発なのです。

上坂さんの話は、単なる技術的な話ばかりではなく、
自然エネルギーの利用によって、農村の生活が豊かになり、
過疎化どころか、将来若者が目指す地域にすることも出来る。
そのための道筋として、小水力発電を見ておられるのも魅力的です。
特に富山県は、水資源の豊かな地域なので、可能性は大きく、
水をうまくコントロールすれば、それが観光資源にもなるのです。

また、そうした新しい農村地帯を作るためには、市民参加が必要で、
売り電価格の引き上げと同時に、市民が自分たちで施設を作る、
その簡単な手順までも、図を書いて示しておられました。
それが左の図ですが、これはあらゆる市民活動に共通することです。
企画アイデアは、地域の住民と有志が協働して練り上げて、
手続き的な煩わしさを行政が担えば、一気にことは進むでしょう。
僕らは市民活動の活性化の方から、お手伝いが出来そうです。