金融資本主義社会を超えて

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第二次世界大戦後の通貨の枠組みであった、ブレトン・ウッズ体制が、
1971年の終戦記念日に、ニクソン大統領の演説によって突然終わった。
それから世界の経済は流動化し、際限なく金融資本化する恐竜となり、
今やその恐竜は地球資源を食い尽くして、自然環境を破壊し続けている。
そうまでして拡大した経済が、どれだけ人を幸福にしたかと見れば、
むしろ多くの人が貧困に悩み、大量の餓死と自殺者を生み出している。

2008年に露呈した、金融資本主義の目に見える破綻の以前から、
世界中で様々な経済学者や思想家が、拡大経済の危うさを説いていて、
地球環境の破壊をくい止めるためにも、循環型社会が提唱されていました。
だけどそうした社会の流れは、2001年の9.11事件で中断します。
アメリカを中心とした拡大路線は、テロとの戦いと称して戦火を広げ、
日本を始めとする多くの国がこれにしたがって、循環型社会から遠のき、
拡大と破壊の虚しいバランスに、世界中が消耗していったのです。

しかしそれでも、すでに始まっていた新しい流れは止まることなく、
史上最強のアメリカ軍事力を持ってしても、押しとどめることは出来ない。
この新しい流れは、世界中の至るところで沸き起こって流れ出し、
どんな強い力で押さえてもねじ伏せても、沸々と何処かに湧き出します。
それらはすべて、無限の拡大がいかに破壊的かを知った人々による、
懐かしい未来への、拡大よりも循環する経済社会を目指す流れでした。

新しい流れに気付いた世界市民の活動によって、多くの提案がなされ、
無限に拡大する金融経済による、過酷なスピードと合理化は見直されます。
多くの提案はヨーロッパから、スローフード脱原発自然エネルギー利用、
そして様々な環境保護の試みが、次第に政治課題にもなってきました。
こうなると、世界の二大国であるアメリカと中国も黙ってはいられません。
金融経済から、自然環境保護のための施策、温暖化防止の試みまで、
あまり実効性がなくても、主導権を求めて提案だけはするようになりました。

これが現在の世界情勢なのですが、それでは日本はどうなのでしょうか?
拡大経済こそが国民を幸せにする!として、走り続けた自民党政権が終わり、
今年ついに政権交代によって民主党政権が出来て、生活優先と言っていますが、
残念ながら鳩山さんの提唱する友愛政治は、まだ実現のノウハウを持たず、
旧態然と拡大経済を求める閣僚やマスコミの圧力によって、機能していません。
今や政府がなすべきは、景気浮揚以上に、価値観と社会構造の転換なのです。

政権交代した今でも、新しく実権を持つ人々の考え方は変わっておらず、
むしろ価値観を同じままに、今度は自分たちが利権を行使すると思っている。
そうではなく、違う価値観の社会を求めていることをマスコミは無視している。
無視する理由は明らかで、自分たちこそが利権者だとよく知っているから、
その利権を脅かすような流れは、どうしても認めたくないのでしょう。
だけど新しい流れは確実に動いており、やがてはマスコミも認めるしかない。
であれば少しでも早く、新しいマスコミの在り方を考えていただきたい。

以前に僕は、2008年から2012年に掛けてが転換期だと言いました。
予想通りに拡大経済の破綻は明らかになり、来年はその真ん中の年となって、
いよいよ新しい価値観が、実社会のフレームを見せ始めることになるでしょう。
様々などんでん返しをしながらも、最終的に行き着くのは循環共生型の社会、
自給自立する社会であることは、この30年間に確定してきたことなのです。
これをいかに現実的に提案し、モデルを示せるかが、来年世界の課題なのです。

それではみなさん、よいお年をお迎えください!
m(_ _)m