源氏物語「葵」朗読会

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春の源氏物語「桐壺」朗読会に続いて、
今日は秋の会として「葵」朗読会を行いました。
色鮮やかな葵祭を見に行くくだりから、
源氏のつれなさに身を焦がす女たちの様子。
そのひとり、御息所の生き霊がさまよい出て、
妊娠中の葵の上を悩ませ、苦しめる。

葵の上は、なんとか無事に出産しますが、
やがて気がゆるんだところで、容態が急変し、
そのまま、帰らぬ人となってしまうのです。
この前後の、光源氏と葵の上のやりとりの中で、
物の怪が御息所の声となって、現れるくだり、
あるいは御息所自身が、我が身から生き霊が出て、
葵のもとを訪れるくだりは、圧巻でしょう。

さまよい出た生き霊が、帰ってくると、
着物に“芥子の香”が移って、不気味なので、
これを着替えるのですが、移り香は消えません。
こうした描写は、今では非科学的とされるでしょうが、
当時は真実の姿として、生き霊を信じていたはずで、
そのおどろおどろしさは、夜の闇に似合います。
僕自身、電気のない暮らしを知っているからこそ、
こうした雰囲気が、リアルに思い描けるのです。

さて、こうした物語を原文で読むのですから、
実は初めて読んだときは、よくわからない。
内容もよくわからないので、読み方も覚束なく、
意味がわからないまま、一字一句を辿っていきます。
それを何度か繰り返していると、不思議なことに、
ある種の雰囲気が感じ取られるようになり、
そこで解説を読めば、一気に世界が開けます。

こんなたどたどしい勉強会を、月一で続け、
春と秋に、朗読会をしているだけなのですが、
なにやらゆかし、源氏物語が近寄ってくるのです。
源氏を愛する、谷先生(写真和服)のおかげで、
今までどんな古典も苦手だった僕も、
その雰囲気を楽しめるようになりました。