「エコタウン」が地域ブランドになる時代

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様々な視点から《地域ブランド》を検証して、
次々に本を出されている、一橋大学関満博さんが、
一ヶ月ほど前に出された新作がこれ。
「“エコタウン”が地域ブランドになる時代」でした。
エネルギー、環境をテーマにした地域作りで成功している、
10の地域を取り上げて、現状と展望を開設しています。

中扉には、
~「エコタウン」が持続可能な社会を拓く~とあって、
足下の「地域」から、環境、エネルギー、食、暮らしを軸とした、
「持続可能な社会」を築きあげていく人々の挑戦を紹介する。
こう謳ってありますから、まさにアップデイトでしょう。
具体的に取り上げられている地域を見ると、

(1)岩手県葛巻町(ミルクとワインとクリーンエネルギーの町)
(2)岡山県真庭市バイオマスを核に広がる重層的ネットワーク)
(3)香川県直島町(瀬戸内海のエコアイランドの展開)
(4)福岡県北九州市(産業から地域へと広がる戦略的環境活動)
(5)神奈川県川崎市(公害の町から国際環境都市へ)
(6)岐阜県(環境型社会の形成に向けた取り組み)
(7)北海道帯広市(廃てんぷら油で路線バスが走る)
(8)山形県長井市レインボープランの現状と課題)
(9)長野県飯田市(まち全体がエコタウン)
(10)兵庫県神戸市(市民・企業・大学によるエコタウンまちづくり)

それぞれレポート担当者は違うのですが、
関満博さんが、全体を纏められているようです。
彼は経済学者ですので、主に経済の視点から地域を考えますが、
環境をテーマにした取り組みは、経済に乗りにくいとしながらも、
これから循環型社会を築いていくことが必須の社会で、
どのように経済を取り込んでいくかを考える点が興味深いのです。

以前にアースディで、環境保護と経済の両立が必要とされたときに、
僕は「おカネ経済よりも自然環境の方が大切だ」と書きましたが、
ここでは「経済的収支を合わせないと環境保護が出来ない」のではなく、
環境保護を必須の条件として、経済的収支を模索している」のです。
いわゆる経済拡大を前提ではなく、循環共生の環境を前提にして、
どのように実現していくかの取り組みなのが共感できるのです。
目標設定型の、バックキャスティング思考の実例といえるでしょう。

岩手県葛巻町などは、すでに自然エネルギーだけで、
地域のエネルギー需要を全部賄っていると聞いていますし、
岡山県真庭市や神奈川県川崎市では、廃棄物を出さないリサイクルで、
ゼロエミッションが実現しつつあるとも報告されています。
こうした事業は、住民や企業、行政との協働が必要なことでもあり、
地方自治の自立とも密接に関わりながら、進められてきたようです。
循環共生型の自給自立社会は、まず地方自治から実現し、
やがて国においても実現すれば、世界は平和な循環社会になるでしょう。

夢のような話かも知れませんが、すでに実現しつつあるのです。
最終的には、このあと百年、千年かかる目標だとしてもいいでしょう。
そのための一歩は、間違いなく目の前にあって、自分たちが歩むのです。
人間は自分の今の中に、歴史と未来と世界中を生きることが出来る、
ワクワクするような奇跡を、歩んでいるのだと言えるでしょう。

この本の文章に、そんなことまで書いてあるわけではありませんけどね!



関満博さん編集の「“エコタウン”が地域ブランドになる時代」はこちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4794808127?ie=UTF8&tag=isobehon-22