政権交代がもたらすもの

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今回の衆議院選挙による政権交代は、どれほどの意味を持つものか?

官僚支配からの脱却を公約した、民主党が圧倒的支持で政権を取ったことで、
省庁によっては、旧政権が決めていた予算執行を止めたところもあります。
それぞれの省庁は、新政権がどのような指針を示すかへの対応に追われ、
事務次官たちは、旧政権下でのような民主党案批判を言わなくなりました。
それでも経済産業省事務次官などは、不満そうな口振りではありましたが、
今まで秘密だった、高速道路無料化の経済効果試算も公開され始めたのです。
それによると、民主党の主張が間違っていないことが裏付けられています。

こうした実務政治的な変化は、これからさらに広がっていくでしょうが、
僕が注目するのは、それ以上に大きな意味を持つと思われる民意の選択です。
日本の憲政史上初めてとなる、選挙による政権交代の意味は大きくて、
これは今まで他人事だった政治を、市民が選択するものだと証明しました。
その意味がわからない旧時代の人は、新政権は一時的なものと揶揄しますが、
鳩山政権によってもたらされようとしている、新しい民主主義の流れは、
これを始まりとして、もう昔へ戻ることは出来なくなっていくでしょう。

人々は、自分とは無関係と思っていた政治の世界さえ選択できることを知り、
この新しい流れは、やがて多くの年月と紆余曲折を経ながらも定着して、
そう遠くない未来に、社会は一人一人の市民が自分たちで作るようになる。
今市民活動をしている人たちの多くは、すでにそのことを感じているのです。
だからこそ、ときには無力感に苛まされながらも、未来のために種を蒔いて、
その種が、やがて時を得て成長することを楽しみにしていると言えるのです。
この新しい民主主義が定着すれば、後生の人はこれを民主革命と呼ぶでしょう。

様々な人が、今回の政権交代と鳩山政権の意味を述べられている中で、
僕は千葉大学教授の小林正弥さんが書いておられる主張文が納得できたので、
これを少し、皆さんにも紹介させていただこうと思います。
抜き出したのは、最後のまとめの部分となる文章だけになりますので、
これを読んで関心をもっていただけた方は、リンクしてあるサイトへ飛んで、
画面で読むには少し長いですが、全文を読んでいただければと思います。


日本憲政史上初の「選挙による政権交代」:
「友愛革命」への起点となりうるか?(執筆:小林正弥)より、
以下に、まとめの部分を抜粋。
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イギリス革命にせよ、フランス革命にせよ、いかなる革命も、その十全なる
展開には、幾つかの段階や様々な転変を経て実現していく。仮に(鳩山氏の)
「友愛革命」が日本において実現するにしても、その実現にあたっては、
たとえば数十年の期間にわたって紆余曲折が必要となろう。それは鳩山新政権
によって完遂されるものなどではなく、遙かにそれを超えて展開していくべき
ものである。新政権というだけではなく、民主党といったような現在の政党を
も超えて、様々な新たな政治的グループが生まれ、明治維新の場合のような
ダイナミックな激動を経て、絵巻物のように実現してゆくべきものである。

 日本政治史上初の「選挙による政権交代」は、福沢以来の政治的理想が
およそ100年を経てようやく日本に実現したことを意味する。これで、日本は
近代的政治、その民主政治という理念に到達した。それと同時に(小泉・安倍
政権が目論んだ)改憲によって「戦争ができる国」にしようとする最悪の政治
を回避することにも成功した。だから、今後に問われるのは、このような悪し
き政治に戻ることなく、逆に、通常の「民主政治」の水準を超えた理想的政治
に向かって歩んでいくことができるかどうか、である。

 このような「友愛世界」への「友愛政治」は、鳩山新政権だけによって実現
できるものでは到底ありえないだろう。しかし、そこに至る雄大な歩みがここ
から始まっていくかどうか。鳩山政権が、その名誉ある役割を担いうるかどう
か。これが、政権交代以後の日本政治に問われていることである。
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この全文は、地球平和公共ネットワークのサイトに掲載されています。
http://global-public-peace.net/archives/156