夏旅報告(もう一つの未来)

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石垣島を去る直前の8月2日に、与那国町長選挙がありました。
現職の外間守吉さんは、経済の活性化とインフラ整備のために、
自衛隊誘致を掲げて立候補されており、これに真っ向から反対する、
元町職員の新人、田里千代基さんとの一騎打ちだったのですが、
結果は外間さんの圧勝で、自衛隊誘致がほぼ確定したのです。

日本で唯一、近代以降の戦争で戦場となった経験を持つ沖縄では、
平和教育も平和活動も活発なのに、どうして自衛隊を誘致するのか?
外間さんは、自衛隊は過去の軍隊とは違って平和を守るものだから、
企業誘致をするようなものと説明されていたように思います。
実際には、そのように都合よく行くとは考えにくいのですが・・・

近代国家成立以降の戦火は、経済利益を守るために行われますから、
国境の町でもある与那国島に、自衛隊が駐屯するようになれば、
西側近隣諸国でトラブルが起きたときには、与那国が最前線です。
基地管理のためには、普段から島自体が管理されることになり、
今までのように牧歌的で自由な雰囲気は、一掃されるかも知れません。

それにもかかわらず、島民が自衛隊誘致に賛成した大きな理由は、
島の経済の低迷や、人口の減少による将来への不安があります。
田里さんが示した台湾との交流による経済振興では、安心できなくて、
日本政府の自衛隊の方が、より信頼できると考えたのもわかります。
自衛隊原発は、こうして日本の弱い部分に巣くっていくのです。

しかし、この二人が言う経済振興以外に、与那国の道はなかったのか?

僕はちょうど一週間前に見た、石垣島エコフェスタを思い出すのです。
すでに写真でも紹介した通り、石垣島では様々な取り組みがあって、
経済開発のために破壊してきた自然環境を、あらためて見直している。
世界に目を向けても、自然を大切にする循環型社会が模索されている。

とすれば、一見取り残されたような島にこそ新しい未来を描けないのか?
今までのマネー経済一辺倒ではない、新しい豊かさを示すことが出来れば、
それが与那国スタイルとなって、世界に発信することも可能なのでは?

軍事利用できる巨大な港や空港と言った、旧時代のインフラではなく、
例えば、自然を壊す化学物質を追い出した、化学物質フリーの島として、
島全体を、自然エネルギーと自然農による自立循環型の生活空間にすれば、
それを世界に向けて発信するだけで、世界中の人が注目するでしょう。
そんな与那国島を、未来の人類社会の在り方として宣伝することで、
世界中から多くの人が見学に来たり、移住したりするかも知れません。

10年後、20年後に、どのような社会を築こうとするのか?
自衛隊誘致による補助金頼りの島にして、島民が幸せになれるのか?
石垣島滞在中にあった、与那国町長選挙と石垣島のエコフェスタは、
あらためて、自分たちの社会の将来像を考える機会でもあったのです。