「遥かなる絆」

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毎年なにかしら1本や2本は、心に嵌るドラマがありますが、
今年は今のところ、NHKの「遥かなる絆」に嵌っています。
この物語は、原作者である城戸久枝さんの実話でもあり、
日本と中国が、まだ国交も回復をしていなかった頃の事情から、
戦争による“中国残留孤児”が、どんな様子だったかがわかります。

内容の詳細については、直接NHKを見るか原作本を読むか、
それぞれのアプローチをしていただきたいと思うのですが、
僕の人生にとっても、中国残留孤児は無関係ではありませんでした。
一つには、東京で家族同様に暮らした人の姉さんの結婚相手が、
戦後すぐには日本へ帰れなかった、残留孤児だったことでしょう。

彼はすでに亡くなっていますが、元気だった当時話をすると、
共産主義がいかに素晴らしいか!と話していたのを思い出します。
それは彼が成長する過程で、教え込まれたことだろうと考えるなら、
我々の価値観だって、アメリカ型資本主義にどっぷり溺れて、
どこまで真実を知っているか、怪しいものだと感じていたからです。

さらに思い出すのは、アメリカのL.A.でホームスティをした当時、
英語を学ぶ成人学校で知り合った、中国人や韓国人の女性たちに、
一緒に遊びに行こうと誘うと、必ず戦争のことを言われたことです。
日本人の僕が、韓国や中国への侵略行為について何も知らないことを、
彼女たちは驚いて、学校では何を学んだのかと批判もされました。

さらには、L.A.での暮らしで、何かと世話になった女性が、
家族と共に中国北部で敗戦を迎え、命からがら逃げ帰ったことなど、
田舎の門前町で、学生運動さえ無関係に子ども時代を過ごした僕には、
何もかもが、まるでどこか、自分とは違う世界の出来事に思えた。
だけど傷ついた人たちには、それは忘れられない日々だったのです。

そんなことを思い出しながら、毎週土曜日の夜にこのドラマを見ると、
さらに、いかに僕らは何も知らずに、何も教えられずにいたのか、
あらためて、人の生涯を狂わす戦争の悲惨さを思わずにはいられません。
権力志向の人たちは、すぐに、自国の利権を守るためだと言っては、
相手が思うようにならないと、軍事力を使うことを利権の行使だという。

だけどその結果、いかに多くの悲惨と不幸を生みだしてきたか、
まともに人間性を持った人であれば、二度と戦争をしたくないと思う。
そして日本には、世界でも稀に見る戦争放棄平和憲法まであるのです。
戦争の悲劇は、殺し合う戦場だけではない、あらゆる生活者を巻き込み、
長く人の心を哀しみに沈めることを、忘れないでいたいものです。



NHK「遥かなる絆」のホームページは(↓)こちら。
http://www.nhk.or.jp/dodra/harukanaru/index.html

城戸久枝さんの原作本「あの戦争から遠く離れて」は(↓)こちら。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4795847428?ie=UTF8&tag=isobehon-22