未来への航海

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昨日の子どもの日に、NHKの特別番組で、
「ABU未来への航海」を見ました。
今回のテーマは「サンゴの海を守る」で、
中国、日本、マレーシア、モンゴル、
フィリピン、カタール、タイの7カ国から、
25人の子どもたちが参加して、
フィリピンに起きている環境問題を考えます。

過去に「熱帯雨林の保護」「草原の砂漠化防止」
と続いてきた、この番組のいいところは、
ただ先生の話を聞いて、覚え込むのではなく、
実際に現地へ行って、空気を感じていることです。
さらには、参加した子どもたちが、
現地で地元の子どもたちと直接交流することで、
様々な問題を、自分のこととして受け止める。
この実感こそ、この企画の命でしょう。

そして今回のテーマである、サンゴを守る!では、
僕がダイビングをして回ったフィリピンの、
ボホール島近海のダナホン珊瑚礁が舞台だったので、
懐かしさもあって、思わず身を乗り出し見ていました。
だけどあの、美しかった珊瑚礁の海さえも、
今ではすっかり汚染されて、魚がいなくなっている。
信じられないような話ですが、この十数年の、
世界中に広がったおカネ経済の汚染から見れば、
あり得ない話ではないのです。

番組の中では、激しい貧富の差によって、
現金収入のために、タツノオトシゴを捕る漁師が、
違法と知りながら、他に生きる術がないと話します。
それを聞いた子どもたちが、涙するのですが、
他の現地視察したグループでは、観光化によって、
経済的繁栄と環境汚染が同時進行するのをみて、
地元の人に、経済と自然とどちらが大切かと問い詰める。
すると大人は、お金がなければ環境対策が出来ないと言う。
それでは自然が取り返しのないことになってしまう!
と真剣に悩む、子どもたちの姿も印象的でした。

こうして、一見対立した課題のように見える、
環境と経済ですが、番組では明るい展望も紹介します。
それは、海に保護区を設けることで、海の環境を改善して、
それによって漁師の漁獲高が増えて、生活が改善する。
かつてはダイナマイト漁で、海が荒廃したアポ島での、
そんな実例を紹介することで、夢を繋ぐのです。
目先の利益に惑わされずに、正しい価値観を持って、
将来に渡る人々の暮らしを、確かなものにしていく。

これこそ、循環共生型社会の姿であって、
僕らが目指すものにも共通しているのだと思う。
今や世界中、どこで暮らしていようと、
この新しい価値観を忘れてはならないことを、
あらためて心に強く思うのです。


写真はボホール島の北、ダナホン珊瑚礁で撮った、
ツバメウオが群れる、生きた珊瑚群の写真です。