「若紫」観桜朗読会

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源氏物語の朗読学習会「紫友会」で、観桜朗読会をやりました。
場所は高岡市伏木矢田の、屋号「よへさ」を持つ向さん宅で、
家の前庭に、大きなしだれ桜があるので、知る人ぞ知る屋敷です。
例年よりも早い満開で、昨日今日がちょうど見頃になったのですが、
昨日は終日の雨になってしまい、今朝は花冷えの小雨模様でした。

それでもやがて小雨は上がり、朗読が終わってお弁当の時刻には、
いくらかは雲間から陽射しもあるほどに、天気が回復しましたので、
はらはらと落ちる花びらを惜しみつつ、その美しさに見とれます。

いつも源氏物語解釈の指導をいただいている、谷口先生のお話も、
今日は「桜と日本人」と題して、桜の「サ」は穀霊の古名であるとか。
万葉の頃に花と言えば梅だったのは、渡来物好きの梅好みであって、
さらに長い歴史を見れば、この国で花と言えばやっぱり桜だったとか。
都文化でも桜が主流になるのは、仁明天皇の時代に国風文化が興り、
貴族の邸でもこの頃に、右近に橘、左近に桜が定着したとのことでした。

桜と言えば、吉野の千本桜こそ有名ですが、源氏物語では若紫で、
光源氏がわらは病みの治療に北山に行く場面が、ことのほか有名です。

「三月の晦日なれば、京の花ざかりは、みな過ぎにけり。
 山の桜は、まだ盛りにて、入りもておはするままに、
 霞のたたずまひも、をかしう見ゆれば、・・・・」

光源氏は満開の桜に囲まれた山里へ行くのですが、ここで初めて、
小柴垣越しに、まだ十歳だった、のちの紫上が遊ぶ姿を見るのです。

「あまた見えつる子どもに、似るべうもあらず、
 いみじく、生いさき見えて、美しげなるかたちなり。
 髪は、扇をひろげたるように、ゆらゆらとして、・・・・」

今回僕らは、写真の家の満開のしだれ桜に面した部屋を借りて、
若紫のこの場面を朗読し、当時の光源氏の想いに心を馳せました。

実に贅沢な時間を過ごすことが出来ましたが、これに必要だったのは、
わずかな謝礼とお弁当、そして自然を守る人の心の繋がりだったのです。
こうした人の繋がりこそ、みんなの暮らしぶりを豊かにするので、
これを大切にしながら、自分に与えられた時間を贅沢に過ごしたい!
お金に振り回される貧しい生活を抜け出すには、お金に執着せずに、
食とエネルギーを自給できる生活にすることが、肝腎だと思うのです。

あとは気まま、好きな本を読み、好きな映画を観て、親しい人と話する。
こんな豊かな時代に生まれついたことを感謝して、また明日からは、
恵み深い自然の中に身を置いて、素朴な自然農に勤しみます♪