男のメンツ社会

男女平等推進センターに出入りしていると、
男と女の違いというものを、改めて考えます。
肉体的には、男には筋力があって、女には柔軟性がある。
精神的には、男はメンツにこだわって、女は装いにこだわる。
もちろん例外はあるけど。基本はこれで考えられる。

なかでも多くの男に見られるメンツへのこだわりは、
様々な社会問題の原因になっているような気がします。
このメンツとは、競争心や克己心やプライドでもありますが、
自己顕示欲ともなって、自分を主張する力が強く働く。
だからこそ社会的地位や権威、権力にもこだわりやすく、
縦割り社会の上の方に行こうとする欲求も強いのです。

ところがこの点に関して、男女は基本的な感覚が少し違う。
男が縦割りピラミッド型の、競争原理を好むとすれば、
女はむしろネットワーク型に、繋がりを求めている。
仕事に上下関係など求めず、役割分担があればいいのです。
したがって現状のピラミッド社会は、男性向きなので、
その中枢には、どうしても男が多くなるのは必然でしょう。
だけど、社会が縦割りでなければならない理由はないのです。

欧米において、社会的な高い地位に女性が多いのは、
原因か結果は別にしても、フラット化社会を現しています。
肩書きはすでに、地位の高い低いよりも役割を示すので、
上司と部下でさえなく、スペシャリストになるのです。
こうなれば、男のメンツやプライドは役に立たなくなるので、
社会的地位や役割は、男女平等になりやすいのです。

さて先に「社会は縦割りでなければならない理由はない」
と書きましたが、実際に現代ではネットワーク型が求められ、
縦割り社会を、ネットワーク型に変えるべきだと説く人が多い。
だとすれば、女性の役割は増えていると考えられますが、
それでいて実際には、女性のトップや管理職が少ないのは、
結果か原因かは問わず、今も日本は縦型社会なことを示します。
これが日本で、民主主義を遅らせている要因かも知れません。

こうして、社会が女性感覚を必要としている今の時代に、
これを縦割り感覚の男だけで、無理に適応しようとするからか?
このところ日本では、草食男子と呼ばれる男が増えている。
たとえば統計的に見る、殺人犯罪の傾向などにおいては、
古今東西を問わず、若い男性に頻度が高かったのに、
現代日本でのみ、若い男性の殺人が劇的に減っている。

凶悪犯罪が減ったことは、たしかに喜ばしい限りだけど、
この世界には、何一つ無駄なものなどないと考えると、
長い間そうだったものが、そうでなくなるのは心配でもある。
もっと女が、ネットワーク型社会の一員を担うことで、
男を強引に女性的な存在にしないでほしいと思うのですが。