とやま憲法フェスタ

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2月11日は建国記念日ってことで、自治労とやま会館では、
富山県平和運動センターを中心とする12団体の共同主催で、
「ありがとう9条 とやま憲法フェスタ」が開催されました。
会館の食堂から、大中小の会議室、ロビーまでの全館を使用して、
冬野菜等即売会、戦時食体験食堂、平和教育パネル展示、など、
一日中様々な企画がありまして、大ホールでは次のような催しでした。

10:00~ ・9条をまもり憲法をいかす富山県民の会第5総会
10:50~ ・記念映画①「沖縄戦は消せない」ー「集団自決」と教科書検定
13:00~ ・記念講演 ー空洞化する9条・25条ー 憲法を暮らしに活かそう
      講師:鴨桃代さん(全国ユニオン初代会長)←※写真の人
14:30~ ・記念映画②「シロタ家の20世紀」
16:10~ ありがとう9条 大抽選会

僕は午前中の映画には間に合わず、午後の記念講演と映画に参加しました。
映画の方は、日本国憲法に男女平等条項を入れる功績があったベアテさんの、
両親とその係累が、どのような生き方をしたかを紹介することによって、
戦争と国境に翻弄された20世紀の姿を浮き彫りにするものでした。
そして今回一番気になっていたのが、今マスコミの話題になっている、
派遣切りに対応して派遣村などの活動をされた、鴨さんの講演です。

鴨さんは、派遣村代表の浅野さんと一緒に、年末年始に活躍されたお一人で、
後手後手で役に立たない役人に代わって、突然貧窮した労働者を保護するために、
テント村や炊き出しを用意して、多くの命を救われたことはご存知の通りです。
そこで彼女がまとめた以下の報告には、当事者の重みがあります。

派遣村から見えてきたこと~
(1)今の社会は、人の命を支える仕組みになっていない。〈社会災害〉
(2)労働者派遣法によって、労働ダンピングが起きている。〈政治災害〉
(3)雇用企業は、労働者に対して責任を取ろうとしない。〈企業犯罪〉
(4)今あるセーフティネットは、必要な人に機能しない。〈行政犯罪〉
   雇用保険、就職安定資金融資、等は条件的に使えず、生活保護しかない。
(5)今年3月までにやること。
   ○シェルターと総合相談窓口の開設〈一箇所で対応できることが大切〉
   ○非正規労働者・就労支援基金(仮称)開設。
   ○中途契約解除に対する派遣先責任(損害賠償)追求。
   ○寮からの退去規制、借地借家法の適用

その上で、今後は「登録型派遣原則禁止」「マージン規制」「みなし雇用」
「均等待遇」「生活できる最低賃金」などを運動方針としていくとのことでした。
公演後の質疑応答で、具体的な解雇と労働組合の無力さを訴える人がいて、
たぶんそれは、現代の労働組合が根本的に抱える問題なのだろうと推察します。
「労働者」として囲い込まれた人たちの権利をまもるのが労働組合であれば、
どこまでも労働と雇用の問題ですから、景気悪化による解雇は必然的に起きる。
その構造までも問題にして、労働運動を社会運動にできるかどうかは、
自分たちを労働者に限定しないで、人として社会としてどうあるべきかの、
広い視野と視点で、社会や人のあるべき姿を提示していくことが大切なのです。

もう少し具体的に言えば、雇用労働者であろうとそうでなかろうと、
人として生きる権利(25条)に本当にこだわるのなら、社会価値観が問われる。
自らの選択として仕事をせずに流浪するのは別として、働く意志がある人が、
働けないとすれば、確かにそれは働けるようにする社会的責任があると言えます。
さらには、働くことはかならずしも雇用されることとは限らないことを確認し、
経済的には疲弊しがちな過疎地で暮らすことで、国の自然を守っているような人は、
同じように社会保障によって守られる必要がある、と知るべきでしょう。

このように考えてくれば、去年後半から始まった金融と経済の行き詰まりは、
将来像を持たない、おカネ経済に依存しすぎる政治と社会の行き詰まりと言えます。
したがって、現状を抜本的に改善しようと思えば、価値観の転換が不可欠でしょう。
社会保障してほしければ、もっと税金を出せ!と言う無能な話ではないのです。
もっと社会全体の構造を変える、公共事業に変わる社会保障の話なのです。
10年後20年後に目指す社会全体は、食とエネルギーの自給による循環型社会!
そう見定めて自由に発想するなら、かならずしも雇用される必要はないし、
かならずしもお金換算の経済成長をする必要さえ、なくなる可能性が高いのです。

さまざまな規約に従って、自分を拘束する雇用形態が好きな人はそうすればいい。
だけど自由が良くて、自然の中でゆっくりと自給自足的な生活を望む人には、
それも選択可能であれば、意に添わない雇用形態に服従することもないのです。
お金よりも大切なのが、自由に生きられる多様な生活スタイルで生きる権利であり、
これが保証されていれば、景気による影響以上に、労働条件も良くなるでしょう。
良くしなければ、自由に目覚めた人にとって、雇われる必要さえないからです。
憲法25条が保証しているのは、そうした生きる自由だと思うのです。