真夜中の激論

イメージ 1

昨日記事にした「日本海学シンポジュウム」が終わったあと、
たまたま出会った参加者の一人から、夜にパネラーが集まって、
南砺市のどこかで、話し合いの場が設けられるようだと聞きました。
田舎暮らしでは滅多にない、哲学や環境学の最先端にいる人の話を、
地元の人たちと車座になって、自由に聞くことができる!
こんな機会を逃す手はない!と思って、参加の許可をもらい、
夕食のあとに、夜の156号線を走って山間の宿に行きました。

すると会場には、新しい南砺市長ほか30人近い人が集まっていて、
夕食の宴会もたけなわに、自己紹介や様々な意見交換が行われていました。
どうやらこれが市政の勉強会でもあったようで、会費が一人5,000円。
僕はすでに夕食を食べていたし、そんな金額は支払えないので、
食事が終わってメインの講師が話を始めるまでは、控えの間にいました。
9時頃にようやく、シンポジュウムのパネラーたちもやって来て合流。
どうやら、内山節さん、大熊孝さん、鬼頭秀一さん、浜田きよ子さんは、
この会場民宿で宿泊することにして、ゲストとして招かれていたようです。
ここで実際に講演をされたのは、これから地域の活性化を目指す話として、
中井徳太郎さんと吉澤保幸さんが、財務省の動向などを話されました。

正式な勉強会参加者には、レジュメも渡っていたようですが、
僕は招かれてもいないので、静かに控えて話だけをうかがいました。
その中で、現在の不況は来年一年では回復するようなものではなく、
金融どころか、経済全体の大転換が始まる好機なのだと話されました。
こうした話は、ご存知のように、僕らは以前から話していたことですが、
政治経済社会のリーダー役である、官僚の考えとして聞けたのは、
予想通りとは言っても、そんな時代になったことに感慨がありました。

特に吉澤さんが、ケインズマルクス理論よりもゲゼル理論を、
将来重要な考えになる!と予言していたことを話されたのには驚きました。
簡単ではあっても減価利子の意味まで話されて、参加者に通じたのかどうか?
いきおい地域通貨のこととか、おカネでは換算できない働き方の話とか、
昼のシンポジュウムの内容を越えて、僕が一番関心を持っているところに、
一気に近づいたのには、おもわず身を乗り出して聴き入ってしまいました。
たしかに、実質経済の専門家が、ゲゼル理論を知らないはずがないのです。

一通りゲストの話もうかがったあとで、参加者との意見交換が始まると、
話題は急に現実的なものになって、田舎で進む高齢化をどうやって止めるか?
農業を壊したのはJAだろうという話になってしまったのは残念でしたが、
これにもゲスト参加者は、若者の最先端の動向から農の可能性まで話される。
「都会から田舎に来ても、不便で苦労の多い田舎暮らしは続かないので、
 定着しないのが現実ではないのか」との農業者の質問に対しても、
それは指導するリーダーがいないからで、潜在需要は増えている!とか、
内山さんは海外の例を出して、フランスの田舎は6割以上が都会からの移住者!
と、移住者が田舎を活性化する可能性が、十分にあることを説明されました。
僕はこの先導こそ行政が担うべきと思いましたが、今回は黙っていました。

それにしても熱心な人たちが大勢いることに感心し、これも新市長効果か?
と思いながら聞いていましたが、今回は唯一女性からの発言として、
こうした会合に若者や女性がいないのは、フラットではない!と言われたのは、
たしかにその通りで、「いつもの人」だけでないオープンな意見交換を望みます。
そして同時に、過去の激動の時代を切り開いたのは常に若者だったとして、
若者の発憤を期待する声がありましたが、現代は人口比率としても若者が少なく、
むしろすでに経済的に心配のない年輩者が、積極的に若者を引き上げる!
そんな協働、共同、互助、共生も考える必要があるように思いました。

夜中の11時を過ぎて、ようやく中締めと言うことになりましたが、
皆さんお疲れのようで、今夜はここまでだろうと判断し、帰路につきました。
会場を離れてから、山道のあいだも町道も、一台の車にも出会いませんでした。
田舎の闇と静けさの中を、環境破壊を嫌うはずの僕の車が駆け抜けました~!

(※ 写真は夜の室内をフラッシュもない携帯で撮ったので、雰囲気だけね)