「定住・半定住を進めるまちづくり」

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国土交通省、全国地域づくり推進協議会、富山県高岡市
そして高岡大会実行委員会と、国、県、市行政の総力を挙げて、
「地域づくり全国交流会議 高岡大会」が開催されました。
その目的は、
「さまざまな地域づくり活動に取り組んでいる実践家、地域住民
 並びにそれらの活動を支援している行政担当者が集い、特色ある
 地域づくり活動の実践例や活動していくなかでの各地域の課題など
 の情報交換を行うことにより、それぞれの地域活性化に向けた
 活動推進に寄与することを目的とします。」となっています。

さらに高岡開催における特定テーマとして、
~先人の知恵に学び 未来へ繋ぐ~ とありまして、
「海、山、川が織りなす豊かな自然に恵まれ、その歴史はきわめて古く、
 (中略)万葉ゆかりの地であります。また、約400年前に加賀藩
 2代藩主の前田利長が開いた城下町高岡を中心に、多くの先人の英知と
 たゆまぬ努力に支えられながら、人口36万人を有する産業・歴史文化
 の中核地域として発展してきました。(中略)この大会において、高岡
 射水地域を全国に発信するとともに、新たな地域づくりを考える場にしたい」

こうして朝9時から、開会式、地域づくり表彰審査会、基調講演、
三つの分科会、地域づくり表彰式、次期開催地挨拶、と17:45まで続きます。
このうち僕は、信州大学人文学部教授の中嶋聞多さんによる基調講演、
「地域の価値創造とブランド戦略」を聞き、分科会にも一つ参加しました。

実は筆記具を忘れていったので、何も記録は出来なかったのですが、
基調講演の内容はわかりやすく、演題の主旨も簡潔に受け止められました。
地域のブランド化は、企業と違って合意形成が難しいことを踏まえながら、
まずは企業のブランド価値がどのように作られたかを解説されます。
ここで唯一、メモを取って覚えて欲しいと言われたのが、
「カテゴリーの創造」と「専有」だったのは、納得出来ることでした。
実例として、アサヒビールスーパードライを取り上げられたことでも、
具体的なイメージが、うまく掴めたと思います。

さらにこの企業ブランド化を、地域のブランド化へと進めるときに、
実際の機能や性能に信用が大切であると同時に、イメージも大事なこと。
このイメージを作り上げるのが、カテゴリーの創造と専有だったわけです。
神戸牛とか、関サバとか、地名を頭にいただいた名産品などがそうで、
高岡射水地域でも、氷見産のブリなどブランド化していると言えるでしょう。
問題はそれが高岡地域として何があるか?しかも高岡へ来てもらうには、
単なる出荷商品ではない、わざわざ高岡へ来る価値のあるものの創造です。
実際に魅力があって、さらに専有出来るほどのカテゴリーになるもの?

続いての分科会は、こうした話を聞いた後で参加しましたので、
テーマ「定住・半定住を進めるまちづくり」に対する期待は大でした。
しかもパネリストには、僕が住民票を移して住んだことのある竹富島から、
喜宝院・蒐集館館長の上勢頭芳徳さんが見えていたのに驚きました。
彼の発表は、八重山において住民数が増えている状況の報告で、
若い人たちが、ヘルパーをしながら定住するシステムが紹介されました。
考えてみれば、将来に向けて人口が増えそうな場所とは、
かならず若い人が仕事をしながら住み着けるシステムがあるのです。

ところが富山県での事例では、新湊の場合も氷見市山間部の場合も、
空き家の紹介やコミュニティバスの運行が、新しい定住者に繋がらない。
おもわずコーディネーターが口にした、定年を向かえた年金生活者が、
足りない生活費を補う程度での収入、しか考えられていないのです。
これでは若い人は来られないし、60代の人しか移住出来ないのでは、
10年先、20年先が思いやられるとしか、言いようがありません。
たとえば都会に住む多くの人が、田舎暮らしに憧れるのは、
けっして60代の退職後ではなく、生活さえ成り立つのであれば、
もっと若いうちに移住したい人は大勢いると思われるのです。

今や日本中の田舎で、団塊の定年退職者を受け入れる話はあるけど、
これから家庭を持って子どもを育てたい若い人が、受け入れられない。
これをどのように考え、どう克服するかを創造することが出来れば、
それがカテゴリーの創造に繋がり、専有の可能性を持つのではないか?
考えてみれば、僕らの高岡でのまちづくり市民活動は、その段階にあり、
散居村の広がる歴史の古い砺波平野そのものをブランド化することを、
自転車を使うことで実現出来ないか、考える段階に来ているのです。
立ち寄りの観光地ではなく、そこに住みたいと思わせる目的地化こそ、
沖縄の八重山や神奈川県の横浜のように、活気あるまちに繋がる!

今回は誘われてなにげなく参加した「地域づくり交流会議」でしたが、
参加したことで、今まで携わってきた「まちづくりNPO」の活動も、
これが砺波平野全体を地域ブランドにする一つの方法だと気付きました。
山裾と海沿いに点在する観光スポットも、散居村の農で面となり、
ゆるやかな砺波平野の傾斜が、自転車のラインで繋ぐことを可能にする。
これで「万葉となみ野」構想が新しいカテゴリーに躍り出るのです♪
いかがでしょうか、このような構想は!