自発的対称性の破れ

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今年のノーベル物理学賞に、日本人3人が選ばれました。
物質の最小単位であるクオークが2種を一組として6元あるという
小林・益川理論は、1973年に発表されたものではありますが、
その理論は2001年になってようやく実証されたものでした。
南部さんはさらに昔、自発的対称性の破れを唱えた人なのですが、
この理論は証明するのは困難でも、理論の役割は素人にもよくわかる。
それまで自然界は対称製をもって成り立っているとされていたので、
どうして宇宙が始まったのか、これほど多様な物質があるのか、
説明の付かなかったことが、説明出来るようになったのです。

さて、こうして物理学の定説となった自発的対称性の破れですが、
その後の物理学界では、余剰次元、空間の歪み、素粒子標準モデル、
階層性の統一、ひも理論、等々が最先端の課題になってきています。
これらはいずれも、実験での実証が難しい事ばかりなのですが、
世界を認識する哲学の一つと考えれば、身近な理論でもあるでしょう。
たとえば余剰次元一つ取っても、これは物理学ではご存知の通り、
長さを1次元、面積を2次元、体積を3次元、時間を加えて4次元、
とした場合に、さらに他の次元があると考えるのが余剰次元ですが、
これはそのまま、人間世界の考察にも当てはまってくるのです。

シンプルに言えば、たとえば現在世の中にある価値観において、
社会性や経済性、科学的であることを大切な価値尺度としていますが、
これらはキリスト教の影響を強く受けた、欧米諸科学の価値観です。
そのような尺度だけで考えれば、アニミズムニューギニアや、
生産性の低いブータンは、価値が低いことになるのですが、
最先端の環境学人間性から見れば、学ぶべきものがあったりする。
ここで別の価値観は余剰次元であり、繋がりは空間の歪みであり、
個々の価値観には同じ命に対する階層性を超えた統一が潜んでいる。
さらには、その命の姿がひも理論なのかもしれないのです。

こんな話は、馬鹿な男のこじつけだと一蹴しないでください。
僕は今、以前にもこのブログで紹介したカール・ヴァイゼッカーの
「人間とは何か」に刺激を受けて、最先端の物理に興味を持ち、
リサ・ランドールの「ワープする宇宙」を読んでいるのですが、
次々に出てくる物理用語はわからなくても、世界観はわかるのです。
たとえば「無限の余剰次元」を持ち出すことで、説明可能になる世界!
世界の実相を言葉で話そうとすれば、螺旋状の話が必要になる!
理路整然と話すだけでは、何一つ新しいものが生まれない世界において、
自発的対称性の破れは哲学であり、社会学でもありうるのです。


リサ・ランドールの「ワープする宇宙」は、(↓)こちらから。
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