ママの戦争後遺症

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マスコミ、特にテレビが不都合な事実を報道しなかったので、
僕らは長いあいだ、世の中に起きていることの真実を知るには、
数少ないドキュメンタリー作家の、映画公開に頼る必要がありました。
だからこそ僕はいくつもの映画上映の実行委員会に参加しましたし、
自分でも平和映画祭などを主催して、優れた映画を紹介してきました。

ところがこの数年に、良質のドキュメンタリー映画が増えてきて、
いくつかの映画は、社会的な環境保護運動の広がりにも貢献しました。
そうした認知のおかげでしょうか、去年あたりから少しずつですが、
テレビで今まで見られなかったような、ドキュメンタリーが増えています。
それは現代起きている現実を、問題提起として放送するものです。

インターネットの大量情報だけでは、真意の精査が難しい内容の、
C型肝炎のこと、冤罪のこと、沖縄密約のこと、その他多くの問題を、
マスコミの人たちは、僕ら一般市民に代わって丁寧に調べてくれる。
こうしたジャーナリストとしてあるべき姿が、復活しているかのように、
大量情報社会の中で、マスコミの存在感を示す報道番組も増えている。

優れたドキュメンタリー番組は、多くのことを教えてくれるのですが、
中でも最近、NHKスペシャルで放送された「戦場 心の傷」シリーズは、
命を育む母となる女性が戦場へ行くことの悲惨さを伝えていました。
子どもの成長期に、何ヶ月もに渡って離れていなければならない母は、
次第に成長する子どもの心と、いつのまにか心が通じなくなっていく。

イラクの戦場で多くの惨殺を目撃したり、死体を見続けることによって、
アメリカに帰っても、大勢の人やベールの女性が恐くて外出できない。
あるいは、笑顔だった子どもが突然銃を向けてきたことで殺してしまい、
自分の子どもがその年齢に近づくにつれて、愛せなくなってしまうなど、
アメリカで起きている悲惨な現実が、次々と紹介されていました。

第二次大戦前まで、兵士は戦場で敵に出会っても、4人に1人しか、
実際には銃を撃たなかったとの調査報告があり、アメリカ軍は勝つために、
敵を人間と思わずに殺すことを、徹底して兵士にたたき込みます。
ところが女性兵士に関しては、戦闘地域に配属しないとしているので、
こうした人間性を破壊する教育は受けないままに、イラクへ行くのです。

ところが実際には、戦場での殺戮を見せられて、子どもを殺したりする。
自分はイラクの復興のためと思って来たのに、このギャップは大きくて、
戦場後遺症に苦しみ、家庭生活ができなくなってしまうのです。
イラクではアメリカ人に対する憎しみが、日増しに募っているうえに、
アメリカでは、あたりまえの家庭を築けない母親が増えているのです。

この戦争のどこに正義があるのか?どんな希望があるのか?
日本では、憲法を無視しても戦争したいヒゲ男が国会議員になって、
アメリカと一緒に戦争しようとするグループが勢力を持っている。
安倍首相の暴走は、なんとか辞任で止めることが出来たけど、
次の選挙では、平和憲法を守って戦争しない人を政治家に選びたい!