和食薬膳

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先日のことですが、県民カレッジの高岡版教養講座で、
「料亭川柳」調理長の大島政文さんによる、和食薬膳のお話がありました。
僕は自然農を始めてから、食はかならずしも栄養分ではないこと、
命を育むのは、食べ物の成分より命のチカラそのものだと感じ始めていたので、
日本の食文化を知り尽くされている、料亭の調理長のお話であれば、
何かまた得るものがあるだろうと思い、聞きに行ってみたのです。

お話は期待通りに、まず古くから日本文化にある健康の考え方が紹介され、
薬膳が考える健康は、「健」=(体)と「康」=(心)のバランスにあって、
食事は(気)をいただくことによって元気になると話されます。
さらには医食同源どころか、古くは「食」と「薬」と「神」は同じで、
なるほど、古の神殿と呼ばれる場所はこのすべてに関係していたのです。
今では「食堂」「医院」「寺院」と考えればいいでしょうか。

こうした基本的な考えのもとに、漢方薬としても使われる食材、
松の実、人参、菊花、オオバコ、葛根、ナルコユリ根、などが紹介され、
その具体的な使い方を、栽培採種の仕方から興味深く話をされました。
内容をわかりやすく編集された小冊子(写真は表紙見開き)もいただいて、
これを参考にするだけでも、様々な薬膳お粥を楽しめそうです。
こうしてみると、身近な山野草がそのまま薬膳になることに驚きます。

さらにいくつかのエピソードとして、自分の体験などをお話しされ、
お酒を飲むときは、事前に牛黄を舐めておくと酔わないとか、
お酒と一緒に杜仲茶を飲むと、胃を痛めないで済むなど参考になりました。
また同じ塩分を取るにも、発酵食品として取れば血圧は上がらないことや、
便秘を治すにはナツメのお茶がいい、心臓を強くするには栗の実が、
肺臓を強くするには百合根がいいなど、貴重な話をたくさん聞けました。

そう言えばブログ仲間からも、ツクシやスギナの効用を聞いたし、
今では自然農の第一人者である川口さんも、漢方を大切になさっている。
そもそも自然農が、単なる有機農業のような農法だけのことではなく、
「生き方」である理由も、今ある世の中の価値観に疑問を持つからでしょう。
僕らは決して「労働力」や「消費者」ではなく一個の『人間』なので、
タンパク質やビタミンを必要量摂取すればいいわけではないのです。

薬膳も自然農も、人間とは何かを考えないと理解出来ないでしょう。