サンゴ礁の世界

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NHKで今週末の三日間、「SAVE THE FUTURE」の特集をやっています。
そのプロローグで、ドラマ「僕の島/彼女のサンゴ」をやっていました。
骨髄移植をしないと治らない病の娘が、石垣島サンゴ礁を見に来たので、
彼女とメール仲間で、ダイバーのインストラクターをしている青年は、
綺麗なサンゴ礁を見せたいと思うけど、白化現象でサンゴが死滅している。
悲痛な想いで帰る娘に、青年はサンゴの苗を一緒に植えることを思いつく。
温暖化などによる目に見えない命の危機に、一つの希望を託すのです。

石垣島のサンゴは、まだこれほど死滅しているわけではないでしょうが、
かつての農薬や土地改良の赤土で汚染されたり、オニヒトデの害とは違う。
この数年の被害は、地球温暖化による海水温の上昇によるものなので、
地元の人の努力で食い止められるような、被害の種類ではないのです。
僕は石垣島周囲にある美しいポイントを、数多く潜って知っていますが、
その多くで、死滅サンゴが広がる悲惨な状態になっているのを見ているし、
白保や川平のような保護区でさえ、白化現象は止まらないと聞いています。

僕が市民活動に関心をもつ、直接のきっかけになったのがサンゴの海でした。
まだ学生だった頃に初めて知った、サンゴ礁のあの美しさが失われる!
その喪失感と、同じ美しいものを見て感動を分かち合いたい希望とで、
自然環境を守りたいと思ったのが、市民活動に関わるきっかけだったのです。
その動機は今でも変わりませんが、残念ながら手遅れ感は強くなりました。
このドラマでも、もう守るべき豊かさは失われてしまっているのですから、
まさに、すがる思いで希望としての、サンゴの苗だったのだろうと思います。

今年も僕は石垣島へ行って、観光客の来ないポイントに入って潜るでしょう。
だけどその多くは死滅して、他のサンゴが産卵しても再生は難しいのです。
サンゴの苗をあちこちに植え付けたとしても、元通りの回復は困難でしょう。
人がだれも近寄らないような場所に、まだ綺麗なポイントがいくつかある。
今年はそこを中心に回ってみますが、それも温暖化が止まらないと死滅する。
山は死に、海は死に、人間だけが繁栄を極めたかのように振る舞うけど、
自然を破壊してしまえば、やがて人間も滅んでいくしかないのです。

それでも僕が生きているうちに、人類が滅びるようなことはないでしょうが、
僕らの子どもや孫が活躍する頃に、大きな困難に直面する可能性は高いのです。
その原因を作っているのが僕らの生活だとすれば、悲しいことだと思うのです。
それなら環境を破壊しない生活をしたい、その事を多くの人に伝えたい。
多くの人が自分の生き方を変えることで、子どもたちの未来を守りたかった!
だけどどうだ、官僚も政治家も、まだ経済成長と見返りを求めてやまない。
細々と苗を植える、ひとりひとり個々人の生き方だけが希望の光なのでしょう。