自給率39%の贅沢者

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毒入り餃子で一躍脚光を浴びた、中国からの食料輸入ですが、
NNNドキュメントを見ていたら、これは大変だと思いました。
エネルギー問題の次に浮上すると予測される、食料に関して、
政府が大好きな「消費者」は、相変わらず何もわかっていない。

まず農薬に関して、もともと中国では農薬を使っていなかった。
それを15年前に、日本の商社が農薬を使うことを条件に、
中国産の野菜を買うことで、農薬の使用が始まったらしいのです。
日本で外見上の虫食いがあると売れないからで、中国の食料生産は、
これ以来、日本の消費者に合わせて、商品管理を続けている。

だけどその要求があまりにも細かくて、チェックが厳しいので、
今では日本への輸出を厭がる農家が増えてきているとのこと。
中国国内での需要も増えているので、輸出の必要も薄らいだのです。
こうして中国からの食料は、今までのようには輸入できなくなる。

それでは、日本人の食料はどこから仕入れてくればいいのか?
すでに世界中で食糧事情が逼迫している現代において、さらに将来、
水と食料を巡る暴動や紛争が激化するとさえ言われている時代に、
どこかの経済人が主張するように、輸入を守るために海外派兵するか、
そうでなければ、国内にあるものを食べるしかなくなるかもしれない。

ところが、ある商社が国内産の材料で餃子作りをしてみたところ、
中国産の5倍になってしまった値段を、4倍にまで下げてみても、
試食会では、これでは高くて買えないから安くして欲しいという。
すっかり安さになれてしまった消費者は、都合のいい要求しかしない。

国の自立のためには、食料とエネルギーの自給自足が不可欠として、
資源があるないにかかわらず、あらゆる先進国では自給を目指した。
その結果ほとんどの先進国では、食糧自給率が100%を超えている。
エネルギーさえ、自然エネルギーの利用で海外依存を減らしている。
唯一日本だけが、膨大な借金を残しながら自給率が半分以下だ。

これだけの危機が迫っているというのに、政治は何をしているのか?
さらに借金を増やしてまで、高速交通網を整備して何になるのか?
零細農家を追い詰めるような、農業に企業経営を求めてどうするのか?
大切なのかカネか?、それとも食とエネルギーの自給か?、どっちだ?

おカネがなければ何も出来ない、なんて大嘘によって人は疲弊し、
人間として産まれてきた価値は、生産性によって計られる人材に落ちた。
金融マネーに象徴される通り、どこかにおカネだけが増えていて、
人々の価値は相対的に貶められ続け、人生の意味さえ見失っている。
この事態は、シューマッハイリイチによって予言されていたのです。

将来において、この事態を解決する道は一つしかありません。
それは多くの気付いた人が提言している通り、地域社会の自立です。
地産地消からさらに進んだ地消地産(必要なものは地元で賄う)へ!
地域のデザインは、この目標に向かって立てられなければなりません。