道路族の59兆円

昨夜のテレビニュースで、日本各地の女性団体が、
道路特定財源を維持しよう!と集会を開いたと紹介され、
そのいくつかの団体が、国土交通省にパイプがあって、
何らかの資金を受け取っていたことが、報道されていました。

中でもビックリしたのが、関西のとある女性団体で、
交通量の多い国道を示して、歩道が狭くて危険でしょ!
と同情を求めながら、高速道路の整備を要望しているのです。
桶屋の風請いじゃあるまいし、必要なのは高速道路じゃない、
安心して日常を過ごすための、車が走らない道路でしょう。

高岡の女性が組織している、街作りのNPOなどは、
安心して暮らせる、徒歩や自転車優先の街作りを望んで、
そのための活動をしているのを知っています。
今までの男性中心、効率中心の価値観に疑問を持って、
車優先ではない、日常生活そのものを豊かにしようとする、
女性の価値観を政策に取り入れようとするものです。

女性が効率を求めて高速道路建設を望んではいけない!
と言うのではありませんが、それでは新しさが何もない。
国土交通省が女性の意見を積極的に受け容れようとしたのは、
効率化ばかり求めたまちづくりに対する反省があって、
今までとは違う多様な価値観を求めようとしたものでしょう。

さて、こうまでして道路造りを進めたい道路族たちは、
この先10年間に59兆円を使おうとしています。
同じ金額を自然エネルギー利用に使えば何が出来るか?
グリーンピース星川淳さんのメッセージを転載します。

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話を単純化するために、今後10年間で59兆円といわれるお金をすべて風力発電
投入したとします。いま国内で建設されている標準的な風車は出力1,500kWで、
建設費は1基あたり3億円程度。つまり、59兆円あれば20万基近く、3億kWの発電
容量が増設できるわけです。これは平均的な原子炉(出力100万kW)の300基分に
も相当します! ただし設備利用率を3分の1と考えて、風力で原発100基分とし
ましょう。日本では現在、55基の原発が30%あまりの電力供給を担っているとさ
れますから、少なく見積もっても風力だけで国内電力需要の半分以上をまかなえ
るのです。

実際には59兆円を風力・太陽光・地熱・小水力・バイオマスをはじめ幅広い自然
エネルギー源に効果的に配分することになるでしょうし、グリーンピースの「エ
ネルギー[r]eボリューション」が指し示すようにエネルギー利用効率の飛躍的向
上にも使われ、当然、普及や規模拡大につれて大幅なコストダウンも起こるはず。
いっぽうでは、たとえば大型風車を建てられる適地は限られていて、一定の歯止
めもかかります。

しかしごくアバウトに推算して、59兆円の道路特定財源自然エネルギーと省エ
ネに振り向ければ、日本の電力需要の大半か、場合によってはすべてを満たせそ
うです。発電に原発も石炭も、ひょっとしたら石油も天然ガスもいらない。文字
どおりエネルギー革命ではありませんか! 環境税・炭素税のシステムと組み合
わせたり、初期投資の呼び水として使ったりすれば、効果はさらに何倍にも増幅
させることができます。

以上は一つの例にすぎませんが、税金や価格のしくみをどれだけ創造的に使うか
によって、その社会の未来にはっきり差がついていくことがわかります。日本の
未来を明るくするか、暗く閉塞したままにするかは、私たちの選択しだいです。

               グリーンピース・ジャパン事務局長 星川 淳
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僕は今の国家予算が大きすぎる、借金が多すぎる、
防衛族費や道路族費を半分以下にして財政を健全化するのが先!
と思っていますが、それでも同じ金額を使うのであれば、
せめてその使い道を、自然破壊の道路や軍備ではなく、
継続できる豊かな社会へ向けて欲しいと思うのです。



星川淳「魂の民主主義―北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法」は(↓)こちら。
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