医療制度再生へ

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岩波書店の「世界」2月号に、提言として、
「医療制度再生への挑戦」が掲載されていました。
書いたのは、医師で国会議員の櫻井充さんと森田高さん。
森田高議員は、市民活動にも理解のある方で、
僕らの「国会ネット」にも参加してくださっています。

ちょうど来週末の26日は「国会ネット」の日で、
市民側からのテーマの一つに、出産医療の不安を取り上げ、
森田議員とも意見交換したいと思っていましたので、
彼の基本的な考え方を知っておくためにも読んでみました。

提言では、問題の発端を80年代の医学部定員削減として、
ここから今最大の問題である医師不足が始まったとしています。
基本的には僕も同じ考えですが、何故そうなったかは、
提言では医療費削減のためとしていますが、僕の記憶では、
厚生省は定員を増やそうとしたのに、当時の医師会が反対し、
医療の質を落としてはいけない等と妙な理屈がまかり通った。
そんなふうに記憶していますが、どうなのでしょうか?

どちらにしても、最大の問題は医師不足に違いありませんね。
提言では様々な問題を取り上げて、四つの処方箋を書いています。

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☆ 解決への処方箋(1).~財政政策と保険制度~
ここに一番多くの文字数を使っていたでしょうか。
日本の医療費は、他の先進国に比べていかに低いかを数字で示し、
過度の医療費抑制をやめて、小児・高齢者の窓口負担を10%に、
現役世代で20%くらいに、負担に差を付けて引き下げる。
この財源は、防衛費や公共事業に使われている予算を回せばいい。
こんな感じで、防衛費を福祉医療に回せばいいのは当然として、
公共事業に関しても、土木工事で地方の雇用の受け皿にするなら、
医療従事者によって地方の雇用の受け皿にすればいいと考えるのは、
車に頼らなくても安心して暮らせるまちづくりにも適していますね!

☆ 解決への処方箋(2).~医師不足対策~
現状の劣悪な労働条件を改善することによって、
特にハイリスクで嫌われている小児科や産婦人科の医師を増やせる。
そのためには、医療事務をする秘書の増員や、研修医制度の改善、
非常勤医師を常勤医師にして、大幅に医師を増やすことを提言する。
当然これを実現するには、大幅な医学部定員増をしなければなりません。

☆ 解決への処方箋(3).~医療事故対策~
小児科や産婦人科の医師が減る理由として、過酷な労働時間に加えて、
医療事故や医療ミスによって訴えられるケースが多いことを挙げている。
医学部へ入学するときは、小児科や産婦人科を希望する人も多いのに、
それが経験を積むうちに、リスクの高い専門を避ける人が増えてしまう。
こうしたことは、素人の僕らが見ていてさえ、なんとかならないのか?
と思うので、「医療事故調査委員会」を整備する提言は理解できます。
多くの人は「医療事故」と「医療ミス」の違いさえわからないのです。

☆ 解決への処方箋(4).~混合診療問題~
これはもう、現に病気の人は、藁をも掴みたい気持ちで求めるのでしょう。
だけど、貧富の差によらず国民が均質の医療をうけられる、この優れた
日本の医療保険制度の維持は、やはり守って欲しいと書いてあって、
僕もやっぱりそう思うのです。そこで新薬承認などを素早くするために、
薬害を起こさないよう注意しながらも、大幅な規制緩和をして、
さらに十分な人手を掛けて、素早い対応をしていただければいいですね。
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最後に、「本来国家が安全や安心を担うべき教育や医療の分野にまで、
市場原理を導入するべきではないと考えるのが妥当ではないか!
このような分野に市場原理を持ち込むのは、人間の命で金儲けを企む、
本来は排除されるべき人々だ! 政治の原点に立ち戻り、
英知を結集して、先進国としてふさわしい医療制度を再生したい!」
こう結んで、提言とされていました。

読めば読むほど、問題の原因は医師不足だとはっきりしているのです。
それを解決するための費用、やり方、効果なども書かれているから、
これに関する市民との意見交換では、僕らに出来ることを考えましょうか?
僕らが協力して出来ることを、探り出していく作業が必要になるでしょう。
あとはお任せではなく、市民の意志として応援していきたいものですね!


今日の写真は、ゴマチョウチョウウオです。