となみ野の温暖化

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砺波地区生涯学習センターが主催する人間探究講座の、
「砺波学~となみ「野」の恵みと災い~」はいつも面白いのですが、
今回は富山地方気象台職員による、砺波平野の気象の話でした。

お話しいただいた職員は、富山県に長いわけではないようで、
砺波平野全体の気象的な特徴を、細かくご存知というわけではない。
アメダスのデータから解説された、砺波平野の気象特徴などは、
冬の日照時間の少なさや、山越えの井波風、氷見のあゆの風など、
地元の人間なら、いまさら聞くほどの内容でもなかったですね。

それでも、この100年とか30年とかでデータを見た場合に、
砺波地方は、日本の平均的な温暖化よりも、温暖化率が激しいとか、
極端な大雨が増えたとの具体的なデータは、興味深いものでした。

それから話の後半になって、どうやらこれが話したかったのか、
京都議定書を含む、IPCC第4次評価報告を受けてのお話では、
珊瑚礁の白化、水不足、山岳氷河の縮小、高山植物の枯死とか、
僕らが普段から取り上げている、温暖化のテーマになってきます。

そして2.5℃の上昇では、干ばつやハリケーンの多発、極氷の融解、
海面上昇を伴う高潮や洪水の多発、伝染病の拡大、農作物の影響、
食料価格の上昇などが、具体的に紹介されていきます。
これって、ほとんどの現象はもう始まっていると言えるでしょう。

それをどのように防ぐかが、現代社会の番大きな問題なのですが、
ここで「私たちに出来る」として紹介するのは、いわゆる省エネで、
自動車よりも公共交通機関を利用する、エアコンの使用を控える、
といった、車社会や経済成長優先の政策とは矛盾したことばかりです。
個々人には省エネを説きながら、行政府は高エネ社会を押し進める。

その典型が、高速交通網の整備や、まちづくりにおける道路網で、
車を控えろといいながら、車に便利なインフラ整備をするのは何故?
電気の省エネをいいながら、工場電力は使うほど単価が安くなる?
自然エネルギーを進める研究には、ほとんど予算が回ってもいない。

政治に期待していては間に合わない思うのか、参加者の中から、
自分で始める場合の風力発電の効率を聞く質問がありました。
気象庁のデータとして、富山に相応しい自然エネルギーは何か?
と言うような質問があったのですが、そうした調査はされていない。
う~ん、こんな状態でエコ住宅を勧められても、納得は出来ないよ!

行政がいまだに、高エネルギー消費社会のインフラばかりに夢中でも、
先をいく市民は、何がこの地に適した自然エネルギーかを考えている。
せめてその参考になるデータくらい用意していただかないと、
中央省庁から下りてきたマニュアルを読み上げられても困るのです。
意識ある市民は、もうそんじょそこらの役人ほど遅れてはいないのだから。


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