教師の品格

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ウェペケレさんのブログに、印象的な記事がありましたので一部を引用します。

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ファッショナブルな奥方との離婚さわぎのあと、
フランスのサルコジが今度は教育問題でひと悶着おこしました。

レジスタンスの活動をしていて、ナチスの報復のために処刑された17歳の青年
ギイ・モケの処刑前の感動的な母親への手紙を、処刑の日である毎年10月22日に
ギイと同年代の生徒がいる高校で朗読するように、という決定をサルコジがした。

「大好きな大好きなママン」で始まる手紙は感動的で、青年ギイは共産党の中で
戦時中から英雄的レジスタンスにまつりあげられていたそうですが、サルコジは、
ナチスという狂気の圧制へのレジスタンス=反逆者であった青年ギイ、そして、
共産主義者であった青年ギイ、という側面を無視して、「国家のために死ぬこと」、
「国家への殉教」のみを協調して、その手紙の朗読をとりあげたのです。

フランスでは、この事態にたいして、歴史的流れを説明せずに朗読することへの
猛烈な講義の声があがり、ギイの母校であるカルノ高校では、高校生とOBが、
教師にあてて手紙を書いた。
「あなた方の中には、国家の命令に従うのが、公務員の義務だと思う人がいるかも
しれません(それがいちばん楽でしょう)が、わたしたちが従うべき 唯一のものは、
自分自身の良心です。あなた方教師は、手本としてそれを、私たちに示すべきです。
時には、より高い理想のために命令にそむこことが必要とされるのです.....」

カルノ高校には、サルコジ大統領が、その当日に訪れる予定だったが、教師たちは、
この手紙に応えて総会を開き、大統領と教育相の命令を拒否する声明を可決して、
大統領は、訪問をとりやめたそうなのです。
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http://blogs.yahoo.co.jp/mgmkwn/18350265.html#18467708
さらに元記事は、http://www.labornetjp.org/news/2007/1193281264047staff01

今では日本でも、学校に対する行政府からの締め付けが厳しくなっているようで、
君が代斉唱や、日の丸に対する敬意を義務づけられたりしているようですね。
けれど、本来こうしたことには必ず歴史的背景があるので、その背景を抜きに、
ナショナリズムを喚起すれば、またどんな過ちを起こすかもしれません。

今回のフランスでは、教育者の自覚として「記憶の政治利用」を拒否している。
日本の教育者で、そこまで考えて生徒の側に立っている人がどれだけいるか?
特に指導的立場の人に、彼らの態度を理解する人がどれだけいるか疑問に思い、
最後にその声明文を引いておきます。

「この命令には国家の道徳を構築しようとする意図が明白であり、教師はその代弁者の
役割を担わされる。全国の子どもたちを、議論の余地のない融合的な内省(死に向かう
少年の犠牲精神と愛国的勇気に、みんないっしょに感動すること:訳者注)をとおして
一体化させ、そうしなければ『反愛国的精神』とみなされる、専横的な命令である」
(10月16日付リベラシオン紙、ピエール・マルセル記者のコラムより引用)