少女誘拐

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毎年違った形ながら、繰り返し起きる犯罪に、少女の誘拐があります。
昨日の長崎県警所轄では、インターネットで知り合った12歳の少女を、
20歳の男が大阪へ誘いだし、8日間自宅で一緒に住んでいて逮捕された。
いかにもネット社会の、時代性を感じさせる事件ではありますけど、
こうした少女を求める男の行為には、時代を超えた何かがあります。

今では遠い昔話のようなことですが、現実にあった処女性の価値観など、
性を社会の道具として、家族制度に組み込んだ時代もありましたし、
女性だけに貞節を求めて、当たり前と思っていた時代もあったのです。
こうして、女性を自分の従属物のように所有していたい男たちの行動は、
時には勇ましく略奪婚のようであったり、拐かしであったりしたのですが、
千年前の源氏物語の中でさえ、紫の君は誘拐に近い状態で囲われます。

その良し悪しを言っても仕方のないことで、男が女を思う気持ちには、
俗に言うロリコンとは違って、小説「ロリータ」に描かれていたような、
どうにも理由が分からないまでに、少女性を求めてしまう感覚があります。
この場合の特徴として、少女は男に従ってさえいれば、大切に扱われる。
「これだけ大切にしているのに、どうして言うことが聞けないのだ!」
となるのは、誰かに権力を奮いたい人たちの共通した感覚なのでしょう。

時代によっては、こうした略奪は珍しいことではなかったと考えられ、
そのまま子どもを授かって、夫婦として暮らす人も多かったと推測される。
それが良いとか悪いとかはわからないけど、本来はどうか?と考えると、
まだ社会的価値観に毒されていない相手を求める気持ちは、理解できる。
今回の長崎でも、保護された少女は誘拐犯?の男を庇っているのですから、
これが果たして犯罪だとは、僕はなんとも合点がいかないのです。

相手が、まだ判断力のない12歳だから犯罪だと決めつけられるけど、
心を打ち明ける相手もなく寂しい思いをしていた少女に、声を掛けて、
二人して示し合わせて小倉で落ち合い、大阪の自宅で一緒に暮らした。
彼は彼女に優しく、二人は幸せに8日間を過ごしていたとしたら、
求め合った相手の年齢などで、僕はこれが犯罪だとは思えないのです。
問題を起こしていないなら、そっとしておいてやれ、と思うのです。

女は男の従属物ではないのと同じように、
子どもは親の従属物ではないとさえ思うのです。

同じ少女誘拐でも、明らかな犯罪性のある新潟の事件と、
今回のような事例は、分けて考える必要があるように思います。


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