失われる珊瑚礁!

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今年は6月頃から、石垣島では珊瑚礁の白化現象が顕著になって、
8月になってからはテレビでも、その現状が紹介されるようになりました。
原因は海水温の上昇によるものなので、台風で冷たい水が入らない限り、
来年か再来年には、八重山諸島の珊瑚は全滅するかもしれません。

そのぶん、緯度の高い四国や紀伊半島で、新たな珊瑚礁が出来るだろうと、
淡い期待を抱く人もいるかもしれませんが、たぶんそうはいきません。
珊瑚自体は単年でも着床して育ちますが、珊瑚礁として定着するには、
自立的に個体数を増やしていけるだけの、大量の珊瑚と面積が必要なのです。
そうした環境が育たない限り、自立的に増えることは難しいのです。
したがって、八重山宮古珊瑚礁が滅びたら、日本に珊瑚礁はなくなります。

珊瑚礁の豊かな美しさを、時空を越えて、少しでも多くの人に見て欲しい!
そう思ったのが、僕が環境問題に関心をもつきっかけだったかもしれません。
沖縄が日本に復帰して、経済成長と引き替えに急速に死滅していった珊瑚礁
豊かな命に満ちた美しい海を、どうしておカネ勘定で滅ぼされるのか?
そこで得た利益の全部をつぎ込んでも、もう珊瑚礁の豊かさは戻らないのです。

映画「エンド・オブ・サバービア」の中で、開発された住宅地の名前をあげ、
ひばりヶ丘」にはもうヒバリはいないし、清水町にはもう清水はないという。
この皮肉に合わせてか、美しい自然を全滅させる人が「美しい日本」を掲げる。
そして実際の珊瑚礁では白化が進んで死骸に藻が繁殖し、緑の棚が広がり始めた。
もう新しい世代とは、珊瑚礁の美しさに出会って得た感動を分かちあえない!

美しい森がそうであるように、美しい海は人に多くの幸をもたらしてもいた。
珊瑚礁の浅瀬には、イモ貝、ツブ貝、サザエ、アーサ、ハマグリ、甲イカ
その他数限りない貝類や魚たちがいつでも取れて、タコやエビも捕れた。
写真は、僕らに石垣島シュノーケリング・ポイントを教えてくれた先輩で、
彼はこの写真を撮ったあと、数年前に病気でなくなってしまった。
見ての通り、日中に手づかみで五色海老を捕ることもできた時代でした。

おカネがないと言いながら、田畑で夏草の手入れが必要な時期に、毎年一ヶ月間、
やっぱり僕は、何とかして行けるものなら沖縄へ行って、海に潜ってみたい。
それは、やがて死に行く自分の姿を、珊瑚にかこつけて見るためかもしれない。