「美的生活のヒント」

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未生流笹岡次期家元の笹岡隆甫さんがお書きになった、
短いエッセイを集めた本で、「美的生活のヒント」。
旅の間に読む本をチェックしていて、この本が目に付きました。
日常の生活から少し離れたところで、普段の自分を見直してみたい。
そう思っていた僕に、なんとなく合っているように思われたのです。
実際に旅先で読み始めてみて、この予感はピタリ的中でした。

僕は自分では「花」をやりませんが、周囲には大勢やっている人がいる。
そんな環境の中で、関心はあっても、なかなかそんな余裕はない。
だけど、花の姿から何かを感じ取ろうとする「心」には興味があって、
その何かとは何か?ってことを考えながら読み始めてみたら、
まさしく、僕が興味を抱いていたことが、そのまま解説してある感じです。

まずは「華道」が示す花の世界が、何を表しているかって事に関して、
著者は明快に、天・人・地、の三つをもって宇宙を表しているといいます。
この本の構成も、そうした考えに従って、その三章からなっている。
と言っても、順序だてて何かを説明しているわけではなく、
どこから読んでもいいような、短いエッセイを集めた本なので、
パラパラとページをめくり、興味深いところから読み始めればいいでしょう。

全体として、この本に書かれているのは「心」そのものであり、
著者も言うように、それは人の生き方を考える作業そのものでもあり、
ここに「華道」の目的もあるというのは、納得のいくところです。
特に興味深いのは、具体的に紹介される「三十六ヶ条禁忌」の話で、
たとえば「ねじれ枝」のようにひねくれた枝は取り除くとする実例から、
自分の失敗を他人のせいにするようなひねくれた考えを戒めています。

「教えることは教わること」「すべてのものは変わっていく」など、
奥深い話が満載されていて、全体として「華道」「行き方」が書かれている。
最後に「農薬をやめよう」なんて視点が出てくるのも嬉しかったですね。
まとめとしての、美的生活のための3つのヒントは、僕が普段思っている、
まずありのままの世界を鑑賞して学び、次にそれを自分のこととして表現し、
最後には周囲の人とその喜びを分かち合おうとする考え方に同じでした。
それを著者がどのように表現しているかは、実際に読んでみていただきたい。

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