五感と五体

地球温暖化が進んで、海水温が2℃ほど上がっているようです。
海水面の上昇も困りますが、連日の猛暑も深刻になるでしょう。
これが人間の仕業に起因していながら、人類に止められないのは、
人々が身の程知らずに、科学技術だけが進んだからでしょうか?

それにしても暑い日が続いています。
7月の石垣島では記録的な猛暑でしたが、
この海流がそのまま上ってくれば、本州も暑くなる。
日本列島は、すっぽりと暑い海流に挟まれるのだから、
8月はおろか9月も暑い日が続く可能性が高いでしょう。

こうして、来年の日常がどうなるかわからないような時代になると、
何か根元的に大切なものを、しっかりと見極めておきたくなる。
3年後には、今と同じ生活ができないかも知れないと思えば、
「これだけはやっておきたい」ことは何かと考え出すわけです。

これはもしかすると、人類が自分を見直すチャンスかもしれない。
世界を破壊する最先端にいる日米の文化が、先往かなくなって、
あらゆる既成の価値観を見直しながら、根元的な価値を探すわけです。
生きること?とはそもそも何なのか?なんて考えてしまいます。

僕の大好きな池田昌子さんは、「善く生きる」と言い切りました。
生活の糧にしたいと思っている自然農では「答えを生きる」とします。
科学技術やおカネ経済に振り回されて生きるのではなく、
自らの五感をもって受け止め、五体を持って表現する生き方です。
命を実感しながら、自分の存在を自由に楽しむ生き方です。

地球温暖化が進み、オイルピークが近づいて、
アメリカ型の大量消費文化が破綻した後に何が始まるか?
多くの人が、この猛暑の中で考え始めたのかもしれません。
この危機を前にして、命の意味を考える人が増えてきている気がします。

食事をすることによって繋がる、肉体の命と同じように、
僕らにはもう一つ、心の繋がりを育てる糧があるのだとしたら、
時代は少しずつ、物質から精神の世界へ移行し始めているのかもしれません。

その道筋を、見誤らないようにしたいものですね。