「透明金属が拓く驚異の世界」

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このところ興味深い最新科学の解説本を新書で出している、
SoftBankCreative の、これまた不思議な世界の話です。
副題には~不可能に挑むナノテクノロジー錬金術
と書いてありますが、まったくこの技術には驚かされます。

まず初っぱなは、正直言って文化系の頭には難しい。
“金属が錆びた酸化物で作る透明な半導体”なんて言われて、
ハリーポッターの魔法の書でも読んでいる気がしてくる。
それが時々タッチパネルの解説なんかに繋がってきて、
なにか最新テクノロジーの話だとはわかるのだけど、
何が難しいかと言えば、電子の構造による物体の変化が、
どうにも、自分の経験からの想像力に結びつかないのです。

それが、透明とは基本的に白色と同じことだと言われて、
「光」の正体や「電子」の正体が「物質構造」に絡んでくる。
どうやら現代の物理科学は、推理と謎解きで出来ているらしい。
これはもう、無限とも思える想像力の世界になるのですが、
その道先案内が、やっぱり僕らも知っている物理なのです。

読んでも読んでも魔法のような話の中で、僕の場合は、
P型透明半導体の話になったときに、急に全体が見えました。
その前までに解説されていた電子や物体の状態の話から、
その後に出てくるアモルファス半導体ディスプレイの可能性まで、
想像力の世界と現実の世界が、突然接点を持って見えたのです。

と言っても、物理科学の知識は一般教養程度しか持たないので、
この本に書いてあることを全部理解できたわけはありませんが、
ここで解説されているテクノロジーの可能性は見えてきたのです。
僕のようなおじさんでも、何かワクワクする未来が感じられて、
若い人がこの本を読めば、未来に開拓したい世界が広がる!
そんな楽しみを感じさせてくれる本だったことは間違いない。
もう僕の頭の中での物体は、電子構造次第でグニャグニャになる。

気が付けば、僕らが日常にある既成概念を打破しようとする、
そんな時おおいに参考になる、新しい概念の存在が書かれている。
読み終えて、一つの大冒険を終えた世界の広がりを感じました。
僕にとってこの本は、大冒険推理小説だったのです。

    きっと科学においても社会においても、
  肝腎なのは想像力と、その言語置換なのでしょう。


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