嘆き!の珊瑚礁

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この写真を見て、何が写っているか、おわかりでしょうか?
ウサギ貝というもので、写真では外套膜で覆われていますが、
この外套膜を収めると、真っ白な美しい宝貝なのです。
20年前の石垣島では、どこにでも見かけられたのですが、
今では絶滅したのか、どこを探しても見つかりません。

陸上の生物であれば、絶滅危惧種などが騒がれていますけど、
海の中はほとんど見向きもされないまま、多くの種が滅んでいる。
いわゆる教育成果なのか、現代人は想像力が乏しくなっていて、
教えられたこと以外を、自分で考えることも出来なくなっている。
教えてもらわないことは、実際にも「ない」ことになっていく。

今年の春にはまた一つ、文部科学省教科書検定において、
あれだけ多くの人が苦しんだ、日本軍による集団自殺の強要が、
「なかった」ことにされてしまい、沖縄の住民は怒っている。
日本の経済成長に乗り遅れまいとして、経済振興に力を入れ、
いのち豊かだった珊瑚礁の海は、ほとんど潰してしまっている。

30年前に、僕が初めて訪れた頃の自然豊かだった沖縄は、
今はもう、よほどの離島か北部の僻地へ行かないと残っていない。
昔はお金などなくたって、海山へ行けば食べるものは十分にあり、
お金などなくたって、衣食住は地域の協力で成り立っていた。
それが今では、お金だけが生活を支える貧しい県になった。

今はその命の残骸の上で、沖縄には観光ブームがわき起こり、
大勢の観光客や移住者がやってきて、大金を落としてくれるから、
なんとかお金は回っているかもしれないけど、魅力はもう薄い。
命の海は枯れ果てて、保護区だけが辛うじて残っているけど、
そう長くは続かないだろうと、多くの海人はため息をついている。

僕を含めて、人間の寿命ははかないものと知ってはいても、
珊瑚礁の海!と言った大自然までが、たった30年で滅ぶなんて、
こんな時代を生きた人類は、僕らが初めてのことだろう。
このツケは、これから生まれてくる子どもたちが背負うのだ。
自然環境を滅ぼしておいて、何が年金だ! 何が格差だ!

  今年も僕は、二週間後には沖縄にいて、
  これが最後かもしれない珊瑚礁に潜る。


たまには僕の本「遊びをせんとや」(↓)でも紹介しておきましょうか。
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