成果主義教育ができる土壌

4月から受講している、志貴野高校の「世界の国々」は、
最初アメリカを学んだ後、今はイギリス社会の学習をしています。
今回は、イギリスがなぜEU全面参加にためらうのか?や、
ドーバー海峡のユーロ・トンネルに対する英仏意識の違いなど、
イギリスらしさとは何かを考えるところから始まりました。

その後は、イギリスのブレア政権が行った教育改革がテーマで、
この10年間に、改革がめざましい成果を上げた理由を探ります。
教材として、NHKの特集ドキュメンタリー番組を見ましたが、
そこで紹介されたシャロン校長の実例は、よくわかるものでした。

数年間で、子どもたちの成績を大幅にレベルアップさせた、
シャロン校長のやり方を、箇条書きに並べてみると、

1,親と教師が話し合って、子どもに目標を持たせる。
2,親が授業に参加して、自分の子とは別の教室でサブをする。
3,校長はいつも学校にいて、子どもに目を向けている。
4,障害のある子も、同じ学校でサポートされる。
5,一クラスの人数を25人にして、目が届きやすくする。
6,校長が直接、熱心な先生を見つけて引き抜いてくる。
7,先生同士が他のクラスにも参加して、意見を述べ合う。
8,校長も、すべての先生の授業を直接見て意見する。
9,校長とベテラン教師で、新人教師を育てていく。
10,親、教師、生徒がそれぞれの役割を明確にする。
11,教師も楽しんでクリエイティブになる授業を心掛ける。
12,子どもの悩みをサポートする体制が整っている。

こんな感じで、まだまだあるのですが、日本との一番大きな違いは、

(1)校長の権限が強いので、自分の裁量で何でも決めることが出来る。
(2)校長の活動を制限できるのは理事会だけで、役所は口出ししない。
(3)理事会は、教師、親、校長、教育委員、地域住民が対等に参加。
(4)教材は検定を受けることなく、教師が自由に作ることが出来る。
(5)校長の方針によっては、10中に5つの成功でも認められる。
(6)リーダーが誰か明確で、それゆえ責任の所在もはっきりしている。

こうした基礎があってこその、成果主義的教育改革だったのでしょう。
その良し悪しはいろいろあるでしょうが、日本とは大きく土壌が違う。
政府の思い通りに子どもを教育しようとする、非民主主義の国では、
成果主義など取り入れれば、人間の画一化と疎外感を増やすばかりです。

もしも日本が、イギリスの成果主義に教訓を得たいと思うなら、
教科書の検定や教育委員会の監視を止めることがセットでしょう。
価値観や裁量を大幅に制限しておいて、成果主義を唱えるのは、
馬車馬にトラックレースさせるようなものなんじゃないかな?