温家宝さんの演説

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日本の国会で、中国の温家宝首相が演説しているのを、
NHKのテレビが中継していたので全部見ました。
さすがに論旨は、全体がよくまとまっていてわかりやすい。
日中のなが~い歴史における関係の話から始まって、
僕の聞き違いでなければ、阿倍仲麻呂李白の交流から、
その後様々な人の交流があったことを実例を挙げて話し、
いわゆる侵略戦争に関しても、大局的視点からまとめている。

戦争後の中国に取り残された、残留孤児の扱いを取り上げて、
105万人とも言われる残留者を、いかに人道的に保護したか、
これこそ人民の人道的な歴史に根ざす行為としたのは、
中国の宣伝である以上に、事実として感謝すべきでしょう。
日本政府が侵略戦争があったことを認めて謝罪しているのだから、
この認識を大切にして、これからの日中関係を築こうと呼びかけ、
それによって、靖国参拝などにも釘を打っているようでした。

注目すべきは、このなが~い歴史認識に時間をかけながら、
演説の論旨は、その上でこれからの両国のあり方を語った点です。
「和すれば互いに利益し、争えば互いに傷つく」として、
具体的に、青少年の大規模な交換交流をうながし、さらに、
細かいところまで話し合う緊密な関係強化が必要だと言っている。
とうぜんこの発言は、具体的にやろうという提案でもあるわけです。
これをもって、戦略的互恵関係の提案と言えるかも知れません。

さてこの演説、温家宝さんが来ること自体が友好なわけですが、
同時に中国国内でも、演説が中継放送されていると聞いて、
すでに広く「人民」に向けた演説なのだと理解すべきでしょう。
貿易額で言っても、日中関係は日米関係よりも大きくなっており、
ムダな輸送エネルギーを使わない観点から見ても、中国は近く、
日本国民にとって、世界の中で中国が大切になるのは明らかです。
この両国人民に向けたメッセージは、しっかり受け止めたいものですね。