冤罪事件は何故起きるのか

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高岡法科大学公開講座で、弁護士 米澤龍信さんの、
「冤罪事件は何故起きるのか」を聞いてきました。
ちょうど高岡では、婦女暴行の冤罪が判明したところであり、
映画も「それでも私はやってない」がヒットしています。
だけど米澤さんの講義は、そうした時事から扱ったわけではなく、
あくまでもご自分の弁護士生活から取り上げられたものでした。
そう、日本では実際にたくさんの冤罪事件が起きている、
その原因を、多くの実例から話してくださったのです。

まず世の中に広く知られている代表的な冤罪事件として、
免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件に共通した要因は、
今回高岡で起きた婦女暴行冤罪事件とも同じ状況から起きており、
さらには米澤弁護士が取り扱った交通事故死の冤罪も同じである。
すなわち、自白の強要と嘘の鑑定によって起きていると言うのです。
まず地方裁判所での裁判があり、次に高等裁判所での裁判があり、
それでもダメなら最高裁判所まで審理を尽くしているのに、
なぜ無罪の人が有罪になる冤罪が起きてしまうのか?
彼は多くの要因の中でも代用監獄制度の問題から指摘される。

僕のような素人の場合、この事情は上記の映画からうかがえます。
しかも米澤弁護士によると、現実はもっと厳しい状況で、
場合によっては、ほとんど寝させてもらえないまま自白を迫る。
寝不足で判断力が低下してきたところで、認めれば釈放だと言われる。
この時点で、多くの人は根負けして、犯してもいない罪の自白をする。
さらにはさまざまな嘘の情報を吹き込んで、気持ちを絶望させ、
半ば自暴自棄になって、取調官の言い分を認めてしまうのです。
そして物証となるさまざまな鑑定結果は、有罪を前提にして作られる。
そうした事情も、彼が扱った業務上過失致死罪での冤罪事件で、
どのように嘘の鑑定が作られたかまで、詳しく話していただきました。

恐ろしい話ですが、これが日本の司法制度の現実なのでしょう。
そもそも司法制度に使われている国家予算の少ないことでも驚くし、
予算が少ないために、司法修士期間は半分に減らされている。
裁判官の数も少なく、一人で大量の事件を抱えているために、
数をこなすことが優先で十分な審議なんかされていないと言うのです。
こんな状況で、軍事費や米軍補助費やイラク戦争援助に大金が使われる。
この国は、すでにもう法治国家ではないのかも知れませんね。
このうえさらに、警察の裁量で誰にでも使える共謀罪が出来れば、
既成権力にとって都合の悪い人は、みんな犯罪者にされるでしょう。

ウンザリする話ではあっても、米澤弁護士は、解決策も示されました。
(1)自白の強要を防ぐには、代用監獄制度を改め、法務官が容疑者を管理する。
(2)いかさま鑑定を防ぐには、一人ではなく複数の人が証拠を鑑定をする。
(3)裁判で十分な審議を得るには、裁判官や検事の数を大幅に増やす。
これらのことは、欧米諸国に比べて日本はひどく遅れているのです。
言ってみれば、司法制度の不備によって、冤罪は作られているのです。
しかしながら、何故かこうした問題が新聞で取り上げられることは少なく、
いつまでたっても冤罪はなくならないという現実があるのです。
それにしても米澤弁護士の話は興味深く、3時間が短く感じられまし