「美しき虜」

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日本で未公開のスペイン映画ですが、面白かったです。
この映画を見ようと思った理由は、ペネロペ・クルスで、
「オール・アバウト・マイ・マザー」や「裸のマハ」など、
ハリウッド映画ではない魅力を見せてくれていたからです。
しかもスペインのフラメンコを踊らせると美しい絵になる、
いかにも地中海の明るい太陽が似合いそうな女優なのです。

そんなわけで、映画の内容には期待していなかったのですが、
見ているうちにだんだん面白くなってきて、スリリングで、
だけどどこか滑稽でもある、実によくできた作品でした!
監督のフェルナンド・トルエバなんて知らない人だし、
共演者のリストを見ても知っている人は、たぶん一人もいない。
それがまた新鮮で、物語にリアリティを持たせて見えるんです。

1938年を舞台に、映画の撮影が困難になったスペインから、
ドイツの啓蒙宣伝相ゲッベルスの招待で映画を作りに一行が来る。
ペネロペ演じる主役の女優マカレナは監督と恋仲なのに、
女好きなゲッペルスはマカレナを自分のものにしようとする。
それを拒めば映画製作が続けられなくなるので、監督は拒めない。
そんな優柔不断な監督に当てつけるように、マカレナは、
エキストラのユダヤ系ロシア人である若い男に心を惹かれていく。

どさくさの中で、若い男は撮影現場から逃げ出してしまい、
マカレナは彼を衣装ケースの中にかくまってしまう。
この後の展開は面白いので、関心を持った人は見ていただきたい。
そして、この先どうなるのかと思うところでの展開は、
多少強引な気がするけど、スペイン映画だから許せてしまう。
なにしろこれは、ペネロペ・クルスと恋する男の映画なのです。

こまかいことは気にしないで、ひたすらペネロペを見ててもいい。
いやいや、心配しなくても至るところにスペインの味があって、
見ていると、なんとも言えずに楽しくなってくるんですよ!
最後にスタッフ全員を逃がして監督だけが残るシーンは、
悲壮感と言うよりは、ペネロペの魅力の前では仕方ないねって感じ。
ラテンの血では、美女のために男が死ぬのは本望なのでしょう。