コンパクトシティ構想

「平成18年度中心市街地活性化シンポジュウム
  コンパクトで賑わいあふれるまちづくり
~多様な立場の方々が関わる中心市街地のまち育て~」
とまあ、なが~い名称のシンポジュウムに参加してきました。
個人の生活と自立は、地方政治と密接に関わっているので、
経済産業省中部経済産業局が何をしようとしているのか?
ちゃんと知っておくことは大切だと思ったからです。

平日火曜日の午後1時15分から4時半まで。
この時間にどんな人が集まれるのかも関心があったのですが、
会場になっていた高岡ウイング4階のホールへ行くと、
またどこかの葬儀かと思うようなダークスーツが並び、
ジーパンに綿セーターの僕は最初から場違いな感じ。
今日のパネル参加者である高岡市長と商工会青年部長の関係で、
まちづくりをビジネスの一環として考える人が集まっている。
なるほど、経済産業省の催しなのだから当然なのでしょう。

内容は、名城大学の海道清信さんの基調講演にあるとおり、
市街地のむやみな拡散(スプロール)を止めて、
集約型のコンパクトシティを作ろうと言うものです。
都市機能を中心市街地に集約することによって、
○車を使わずに効率よく生活できる。
○都市基盤整備・維持管理費の節減ができる。
○都市の魅力、歴史文化、市民の誇りを育てられる。
○都市型観光、サービスの拠点として経済発展できる。
○買物、飲食、娯楽など多様な価値が集積されて便利になる。
○パブリックスペースが有効に使える。

このなかで、パブリックスペースの有効活用はわかるのですが、
その他の項目は、一部の中心市街地生活者を利するだけで、
現に中心地から遠くに暮らす人にとっては何のメリットもない。
コンパクトシティ構想では郊外型のショッピングセンターよりも、
駅前型のシティセンターを充実させるわけだけど、
よほど公共交通機関が整備されなければ不便この上ないし、
車を使わないで済むのは、中心部に住める富裕層だけでしょう。
しかも歴史文化は中心市街地にだけあるわけではないのだから、
周辺地域の文化は廃れてもいいと言っているようにさえ見える。
まったく欠陥だらけの行政構想だとしか言いようがない。

それではどうしてこんな構想がまことしやかに出来たのか?
頭脳明晰な経済産業省の人たちが目論んだことはただ一つ、
「効率よく税収を増やしたい」だけなのかもしれない。
そう考えると、全部が透明性を持って見えてくるから不思議です。
実際に市民生活の利便性や文化の活性化を望むなら、
例えば高岡駅前だけをコンパクトシティと考えたりしないで、
広域化する市内辺境に住んでいる人にも恩恵が行き渡るように、
いくつもの小センターを設定してその間の移動を低額にする。
そうすれば駐車も拡散されて無料にすることも可能だから、
車が中心地に集まる弊害も無くすることが出来るでしょう。

こうしたことを考えるきっかけになったのはありがたいけど、
海道さんが示されたコンパクトシティ構想の内容は、
今ある郊外ショッピングセンター型に比べてさえ、
中心地以外の住民にとって、いいものだとは思えませんでした。
なにしろ中心地へ行くだけでお金が掛かってしまうのです。
さらには、辺境地で農作業をして暮らしているものにとって、
行政の恩恵はますます縁遠いものになるだけな気がします。
もっと個人の自立を公平にサポートする行政を望みます。