日本海学シンポジュウム

このコーナーで沖縄以外のことを書くのは初めてでしょう。
沖縄の離島で珊瑚礁の海が大好きになって以来、
僕にとって、海と言えば珊瑚礁の海のことになってしまい、
富山の海には長いこと入っていないと思います。
だけど入らなくても様々な影響は受けているはずなので、
今回はそうしたことを知っておきたくもあって、
富山県日本海学推進機構主催のシンポジュウムに参加です。

第一部では、平井信行さん(気象予報士)と
太田希生さん(水中カメラマン)の短い講演がありました。
僕は開演直前に会場に駆け込んで席に座ったら疲れがドッと出て、
平井さんの話は途中からウトウトと眠ってしまいました。
でも太田さんの講演で海中の様子がスクリーンに映し出されると、
しっかり目が覚めて、その後の話は全部聞くことができました。
太田さんの話で印象に残ったのは、予想されたことではあるけど、
富山湾の中がゴミで汚れて淀み始めているってことでした。
しかも他の県と違って湾内は独特の環境を持っているので、
一度汚れるとなかなかきれいにならないのではないかと心配です。

第二部では、長い肩書きを持つ人がズラリと並んだので、
面白いからその肩書きはしっかり書いておきましょう。
コーディネーター・中井徳太郎(金融庁監督局総務課協同組織金融室長)
パネリスト・佐藤洋一郎総合地球環境学研究所教授)
益田玲爾(京都大学フィールド科学教育研究センター助教授)
稲本正(オークビレッジ代表・トヨタ白川郷自然学校校長)
さすが県庁の肝煎りで並べたメンバーって感じでしょうか。

あまり意見交換になっていたようには見えませんでしたが、
それでも各パネリストの発表は面白いものでした。
益田さんの話では、同じ場所で確認される魚の種類は年ごとに違い、
何かが増えれば何かが経る、その総体としていのちの世界があるってこと。
佐藤さんの話では、富山県は地球規模で見た大きな文化圏の境目にあり、
その両方の植生に関わる豊かな文化の可能性を持っていること。
そして稲本さんからは、山は山だけであるのではなく、
川から海に至る大きな循環の一部でしかないとの話をうかがいました。

コーディネーターはこうした話をまとめて終わりにしましたけど、
実はパネリストが皆さん口をそろえておっしゃったことは、
遠方からの食料輸入の問題であり、富山県は自然環境が豊かなので、
もっと地産地消による食糧自給率を上げることが必要で、
そのために自分で出来ることを始めるべきだってことでした。
・・・・そんなことは今さら言われなくてもよくわかっている。
だからこそ自然農による自給自足を目指して「まみあな」活動を続け、
市民活動にも参加して、生き方の見直しを進めているのです。
だけどそれをジャマしているのが行政のように思われてならない。

海外から食料を輸入する交通費に掛かる税金を免除したり、
河川から海に至る自然環境やその植生をを大規模開発で破壊したり、
昔からの屋敷林を維持する努力をあざ笑うかのようなミュージアムなど、
行政がそうした不自然な矯正活動を押し進めなければ、
人々は昔から自然と共に身近な環境を整備して生活を営んでいたし、
今もあたりまえのことをあたりまえにやって自然に暮らすでしょう。
このシンポジュウムが県の主導で行われているというのは、
自分たちが行っている諸悪の贖罪のためなのだろうか?