「国民の怒り」 に困惑する

最近のテレビで何が面白いかと言えば、
みんなが感じている政治や社会に対する腹立たしさを、
うまく代弁してくれるバラエティー番組でしょう。
その代表格が「太田光の私が総理大臣になったら…」で、
これまで多くの本音の提案をしてくれたのは面白かった。
もちろん荒唐無稽の提案もあったけど、
現状に苛立ちを感じている人には共感があった。

ところが昨夜の番組で、番組に投書された「国民の怒り」
ベスト5を聞いて、なんだかめまいがしてしまった。

1位の「北朝鮮による核実験」に怒るのはいいでしょう。
たしかに太田さんが言う、アメリカの核兵器は良いのか?
まで含めて、核問題に対する国民の怒りはあって当然だと思う。
2位の「飲酒運転による相次ぐ事故」だって怒りたくなる。
実は僕だって、お酒を飲んだまま車で帰ったことがあるけど、
今では反省して、外でお酒を飲むことはやめてしまった。

だけど3位の「国会議員宿舎なんて必要ない」あたりから、
そりゃまあそうだけど、もっと大事なことがあるだろう、
って気持ちが強くなってくるんだよね。
4位の「イケメン代議士の不倫」とか、
5位の「広島での大量犬放置」とかを聞いていると、
問題じゃないとは言わないけど、もっと大事なことがあるだろう!
と「国民の怒り」に対する「あきれ」が湧いてきてしまった。

単なる週刊誌のネタじゃあるまいし「国民の怒り」と言うくらいなら、
「800兆円にもなる国の借金」に怒りは感じないのか?
共謀罪なんて悪法が作られる」ことに怒りは感じないのか?
「教育をねじ曲げる教育委員会」はどうなのか?

そこまで考えたところで、これはバラエティー番組だと思い出す。
日本の社会は、壮大なバラエティー番組でしかないのだとすれば、
なるほど、深刻なこの国の将来よりも議員宿舎
イケメン議員、犬の虐待に怒るのはもっともかもしれない。
そう思ったら、怒りよりも、めまいと困惑を覚えてしまった。
いや実はもっと硬派の時事問題を扱う番組も見ているけど、
どちらも論点がずれているように思うのは僕だけなの?