人肌サイズの共同体

ETV特集で「お寺ルネサンスをめざして」
と題した番組をやっているのを偶然に見た。
・應典院(大阪・浄土宗)・妙光寺(新潟・日蓮宗
・神宮寺(松本・臨済宗)の実例を出しながら、
新しいお寺の役割と可能性を探る番組だった。

お寺に対する期待は何度も失望に終わっているので、
あまり期待せずに見てみたら、なかなか良かった。
本堂を舞台にして、若者に使わせている應典院では、
「仏教の仕事は“問う”こと」と道を示しているし、
妙光時では人生の末期に向かう個人との関わりを深め、
新しいお寺の在り方を模索してきている。

そしてもっとも刺激的なのが神宮寺の活動だろう。
住職の高橋さんは、国際援助活動や地域活動に参加し、
坊さんは何のプロフェッショナルなのかと自問して、
生老病死の苦を和らげるプロなんだと自覚する。
それも国家のような大きな組織ではない各町内で、
人肌サイズの共同体を大切にするというのがいい。

仏教ばかりではなく、キリスト教の教えにも、
「共苦」はとても重要で大切な概念だと思う。
誰かが苦しんでいるときに、助けられないとしても、
せめて「共に苦しむ」人がいると救われるものだ。
それを仏教やお寺が担えるとする点で共感できる。
「共生」も「共苦」も人肌サイズが確かにいい。