「スイミング・プール」

この作品は、最初は本で読んだ。
春に沖縄へ行く直前に、目黒シネマで、
一ヶ月間の期限で本を貸し出していると知り、
選んだのが、ちょっとおしゃれなこの本だった。
所々に挿入された映画のシーンもいい感じだった。

沖縄にいる間に読み終えて、それで満足して、
映画を見るつもりはなかったんだけど、
最近になって友人がこの映画を見たようで、
とても良かったと言うので気になってしまった。
そこであらためてレンタルして鑑賞してみた。

ストーリーを知りながら見るサスペンス映画は、
あまり期待しなかったのに、とても良かった。
映画と本はやはり別物の世界だと感じた。
サラ・モートン役のシャーロット・ランブリングは、
知的な視線で見ているものを引き込んでいく。
そしてB.B.の再来と言わせる美しいL.サニエ。

この二人の女性心理がミステリアスに描かれる。
登場人物は少ないし、派手なシーンも見あたらない。
それなのに目が離せなくなっていくのは、
やはりフランソワ・オゾン監督の手腕なのだろう。
さりげない映像は美しく、音楽は静かで自然だ。
室の高い映画は何を題材にしても見応えがある。

ランブリングの作品は「愛の嵐」など数本見てるけど、
サニエやオゾン監督は「8人の女たち」しか知らない。
そういえばあの作品も不思議な女性心理を描いていた。
これは僕だけが不思議に思うわけではないのだろう。
女性には何かミステリアスなものがありそうだ。
それがこの映画を面白くしているに違いない。