「殿、利息でござる!」

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阿部サダヲ主演で、キャッチコピーの軽妙さから、
単なるコメディーと思い、今まで見ていませんでした。
それが図書館にあったので、借りて観てみたら、
実に優れた作品で、しかも実話だと言うから驚きました。
江戸時代に、こんなことがあったのですね。

出演者も蒼々たるメンバーで、瑛太妻夫木聡
竹内結子寺脇康文、きたろう、千葉雄大、西村雅彦など、
個性豊かな俳優が、それぞれ役に当てはまっている。
伊達重村役に羽生結弦を充てたのも、面白いと思ったし、
僕個人的には、萱場杢役の松田龍平も良かった。

そして史実だと言われる、この話の内容ですが、
宿場町である仙台藩の、吉岡宿で実際にあったことだとか。
財政難のために重税を課す藩に対して、町の智恵者が、
藩にお金を貸し付けて、その利息で宿場を復興させようとする。
現代にも通用するお金の理解が、江戸時代にもあったらしい。

お金には貸す者と借りる者がいて、この関係性は、
貸す者が絶対に強いと、勘定役の萱場杢は知っているのです。
したがって、そう簡単に認めるわけにはいかないのですが、
浅野屋甚内十三郎の、宿場を救おうとする意思が、
こうした活動の基になっていると知って、受け入れる。

受け入れる一方で、有利に借りる手立ても考えたので、
宿場の者たちは、さらに知恵を絞る必要が出てくる。
藩は自らお金を作ることで、財政難を克服することを考え、
お金を作る者と使う者、借りる者と貸す者が登場して、
混沌とするのですが、ともかく貸せば利息はついてくるのです。

現代に置き換えて考えても、仮想通貨などが見えてくるし、
お金の問題そのものには言及せず、現状を克服する智恵だけが、
ある種の特例として、浅野屋の手柄として登場します。
問題の本質には触れない所が、この映画の限界ではあっても、
エンタテイメントだから良しと考えれば、確かに面白い。

さてこの問題は、現代に持ち込めばどうなるのか、
新たに多国籍企業の問題があって、簡単ではないのです。
多くの学者が知恵を絞って、お金の問題に挑んでいますが、
まだまだ力関係において、 国境を越えた企業が強い。
そろそろ新しい知恵が、実現しても良いと思うのですが。