なが~い付き合い
僕は20代の初め、大学生だった頃から、
旅をすることが多くて、定住生活が少ない。
そしてどこかへ旅すると、長く帰らないので、
以前の友人とは、疎遠になってしまいます。
そのまま連絡しないと、すっかり忘れてしまい、
あの人どうしたかなあ、となってしまう。
男性でも女性でもそうですが、その中で珍しく、
長く付き合った人が、男性と女性で一人づついます。
男性は西村君で、今では石垣島でしか会わない、
もとはアルバイトで知り合った、おもしろい男です。
そして女性は、弥生ちゃんと言うのですが、
この人の人生も、ちょっと変っていておもしろい。
弥生ちゃんと知り合ったのは、40年ほど前で、
僕はアメリカから帰国して、日本閣でバイト中でした。
彼女もバイトに来ていて、声を掛けて知り合って、
一緒に映画を見に行ったことから、親しくなりました。
と言っても当時彼女は、実はまだ中学生だったのに、
高校生だと偽って、アルバイトをしていたのです。
手足が細く長くて、痩せた女の子でしたが、
生意気で好奇心が旺盛な、どこか大人びた子でした。
その後はたまに会う程度でしたが、20歳頃には、
石垣島で会うメンバーの一人となり、飲みにも行く。
僕が井波で、お見合いをさせられそうになったときは、
弥生ちゃん他、何人かの友達を連れて帰りました。
と言っても、僕は弥生ちゃんと恋仲になったことはなく、
一緒に遊び回った男友達が、結婚を申し込んでいる。
二人は結婚することになって、ハワイで挙式の予定となり、
何人もの参列者がハワイへ行きましたが、中止となる。
いや実際には、ハワイでウエディング衣装を着たかった、
ところまでは実行して、でも結婚はしなかったのです。
僕はハワイへ行かなかったので、詳しくは知りませんが、
弥生ちゃんには確かに、そう言う気まぐれなところがある。
見た目は可愛いし、話してもそれなりにおもしろいから、
多くの男性が近づいて、気まぐれに振り回される。
一度は横浜市の山浦宅で、遊んでいた弥生ちゃんを、
その後都内の資産家と結婚して、女の子を一人産み、
程なく別れて、今は娘と一緒に北海道で暮らしている。
この間に何度か富山に遊びに来て、知り合いの別邸に、
一夏を過ごしたこともあり、自由気ままな人でした。
どこか似ているところがあって、好きではありましたが、
一緒に暮らしたいと思ったことは、ありません。
一緒に石垣島で夏を過ごしたことも、何度もあるし、
僕が彼女の家に、泊めてもらったこともある。
彼女のお母さんが石垣島に来て、鳴きヤモリの声を聞き、
僕がいくらヤモリだと言っても、信じませんでした。
今でも連絡を取ろうと思えば取れる、貴重な友人であり、
これだけ長く付き合えた人は、他にいないのです。
今日の写真は、数少ない僕がまだ20代の頃のもので、
初代の「南の北の家」オーナーの、木戸さん夫妻と僕ら。
水着姿の弥生ちゃんを見ると、多くの男性を惑わせたのも、
わかる気はしないでも無いけど、それは外見です。
話しているとわかるのは、いろんな本も読んでいるし、
教養も豊かだけど、気まぐれなところがあるのです。
僕のように、旅の先々で誰か人恋しくなったとき、
彼女に連絡をすれば、なんだか心強くなれたのです。
それ以上の付き合いでなくても、僕には貴重な存在で、
間違いなく、僕の人生の一部だった人なのです。
またいつか石垣島ででも、ゆっくりとくつろいで、
泡盛でも飲みながら、人生のおしゃべりをしたいもの。