恐れを知らぬ少女
今年3月の国際女性デーに合わせて、NYウオール街に、
「恐れを知らない少女」の像が設置され、話題を呼んでいます。
この少女像は、金融猛威の象徴であるチャージング・ブルの前に置かれ、
このどう猛な雄牛を恐れることなく、しっかりと見据えているのです。
金融会社のアドバーザーが、女性給与の不平等に注目を集めるため、
市の許可を得て設置したもの、と紹介記事には書いてありました。
しかし僕はこの像を見て、単なる男女平等や給与の不平等を越えて、
金融という力で社会をねじ伏せる暴力に、立ち向かう姿を見るのです。
恐れを知らぬ少女は、現実世界では獰猛な雄牛に負けてしまうでしょうが、
こうしたアートの象徴世界では、雄牛に負けない力を示すことが出来る。
強い雄牛の先入観念をものともせずに、新しい「何か」によって、
小さな体に胸を張って対峙し、新しい価値観を訴えるのです。
国際女性デーに合わせていますから、女性差別に注目を集めるため、
設置されたものであることは明白ですが、それだけとは見えないのです。
強い力によって弱いものをねじ伏せる、今までの男性的価値観を、
まったく違う価値観によって、堂々と対峙してみせるのです。
弱者とされる者たちであっても、決して強者に跪いたりしない、
こうして堂々と立ちはだかることで、存在感を示しているのです。
日本は男社会と言われて久しいですが、広く世界に目を向けるなら、
男性的価値観は批判され、少しずつですが女性の価値観が広がっている。
今はまだ現実社会において、女性の地位は男性より低く見られますが、
こうした象徴社会においては、小さな少女の方が存在感が大きくなっている。
何も恐れずに立ちはだかり、傷つきながらも社会を変えていく力こそ、
多くの人が求めるようになっており、この点で日本は大きく遅れています。
同じ金融会社でも鎌倉投信など、お金ばかりを求めるのではない、
幸福を目指す金融へのステップアップを図り、成功している例もある。
鎌倉投信の新井和宏氏は、その具体的な形として「結い2101」を企画し、
投資先を財務指標ではなく、理念で決める運用を行っているのです。
お金だけではない幸せのために、理念を大切に生きることを勧め、
他人軸ではなく自分軸で選び、全力で仕事をすることが大切だと説く。
格差社会とか貧困とかの言葉が踊る時代に、彼の言う幸せへの道は、
「お金がないから不幸せと思う人が多いけど、だったら少ないお金でも
幸せになれる構造をつくればいいのです」と言うものです。
そうした会社や就職先がないと思うなら、自分で作れば良いとも言う。
僕の場合はお金そのものからなるべく離れ、お金に頼りすぎない、
なるべくお金に縛られない生き方によって、新しい幸せの形を探ります。