ゆげ街道
温泉をあちこち回って思うのは、温泉街の衰退です。
昔は浴衣姿で温泉街を歩くのが、楽しみの一つでしたが、
今ではそのような姿は、あまり見られなくなりました。
車の出入りが激しくなって、街中でゆっくり出来ないとか、
お店でお金を使う客が減って、成り立たなくなったとか。
そしてホテル自体も、ホテルの中に何でもありにして、
外へ出て行く手間がなく、中でお金を落とさせる。
そうなるとますます温泉街は寂れ、人も来なくなって、
温泉へ行く楽しみが、一つ減らされたような気になります。
その点で山中温泉は、街も新しくきれいになっており、
まだまだ街には人がいて、立ち寄りたい店も並んでいました。
ゆげ街道と呼ばれる、山中温泉の温泉街中心部は、
古くから由緒ある総湯も、リニューアルしてきれいです。
さらに山中座と言う、昔ながらの演劇上映劇場もあり、
小綺麗にしながら、古くからの伝統風情を受け継いでいます。
このあたりの伝統と新しさの融和が、とてもスムーズで、
違和感がなく溶け込んでいるので、落ち着いて楽しめます。
この中心部から600mに渡って、目抜き通りがあり、
ここを「ゆげ街道」と呼ぶのですが、楽しい店が並んでいる。
昔なら“的当て”とか“ストリップ劇場”なんかがあって、
夜の街って感じでしたが、今はまったく違う様相です。
写真左上は、美味しいコロッケが自慢の肉屋さんで、
僕らもこの店に入ってコロッケを買い、休んで食べました。
右上の写真は野菜屋で、地元野菜を売る店ですが、
野菜と果物を使ったジュースに、人気があるようです。
野菜嫌いの姫も、何か野菜ジュースを飲みたいと言うので、
作ってもらうと、「美味しくない」と言いながらも飲みました。
そして右下がその名の通り、お椀を売っている店で、
そのほかに地酒の酒屋とか、覗いてみたい店が並んでいる。
最後は手造りの小物が並んだ店に入り、妻が嵌まってしまい、
30分ほど覗いていたと思ったら、何か買っていました。
姫もお店の子と仲良くなって、遊んでいましたから、
僕はぼんやりと、街の景色を眺めながら待っていました。
昔の温泉街と違って、今はどこも女性がターゲットですから、
僕らはひたすら、女性の買い物を待っているしかない。
手造り小物の店の前には、風車が地面に刺してあって、
姫はなぜかそれが気に入って、しばらく遊んでいたようです。
気がつけば何時間かが過ぎていて、これで今日の予定は終わり、
あとはどこへもよらずに、まっすぐ帰宅するだけでした。
それでも姫は満足そうで、最後は車の中で眠っていました。