樹齢2300年
週末の金土曜日に、加賀の山中温泉へ行ってきました。
温泉も宿も良かったのですが、それ以上に良かったのが、
山中温泉の温泉街と、その周辺の自然や歴史です。
他の温泉へ行くと、宿の周辺だけでは物足りないので、
どうしても別の場所も回りますが、山中はここだけで満足。
温泉街の紹介は後日にして、今日は大杉と町の歴史を、
見てきただけですが、少し紹介しておきたいと思います。
僕は温泉そのものが目的なので、気にしていませんでしたが、
巨木が好きな妻は、観光マップに2つ見つけていました。
それが三叉大杉と栢野大杉で、観光マップの端にある。
僕らの宿は反対側の端なので、姫もいることだし、
念のために宿から車で移動して、まずは三叉大杉へ。
地図の読めない妻の指示に従って、観光マップにはない道を、
半信半疑で進んで行くと、それらしい大杉を見つけました。
愛車をスルスルと近づけると、菅谷八幡神社があって、
その境内にあったのが、写真左端の三叉大杉だったのです。
このあたりの菅谷村は、縄文遺跡も発見されているので、
5千年以上の歴史を持つ、と言われる古い村です。
この大杉は樹齢が2300年で、幹が三つに分かれています。
伝説では、村人が大杉を切って帆柱にしようとしたら、
翌日には三つの幹に分かれていて、帆柱にならなかったとか。
そこから平岩橋を渡って、栢野大杉まで行ってみると、
これはもう圧巻の巨大な幹で、何本もの大杉が聳えています。
鳥居から神殿に向けて、渡り廊下のような浮き橋があって、
これは大杉の根を傷めないために、わざわざ作られたようです。
その甲斐あってか、ここの大杉はいかにもすくすくと、
天に向かって聳えている様子が、圧倒的に見えるのです。
この境内には、他にも何本か大杉が並んでいますから、
それだけで鬱蒼とした森のようですが、手入れもされている。
川向こうが菅谷村なら、こちらは栢野郷と呼ばれ、
古くから加賀と越前の交通の要所として、栄えていたようです。
明治20年に菅原道真を併祀して、菅原神社となって、
昭和3年には、天然記念物として指定されています。
ひっそりとして訪れる人のない、三叉大杉と違って、
この栢野大杉には、次々に人が訪れて賑わっていました。
道を挟んで向かいには、栢野大杉茶屋もありますから、
こちらは山中温泉の観光地であり、三叉大杉はそうではない。
実は三叉大杉の付近は、道が入り組んでややこしいのです。
観光マップを頼りに散策する人は、コオロギ橋を目指すので、
あえてわかりにくい三叉大杉へ、行こうとする人は少ない。
妻が巨木好きでなければ、自ら探し当てることもなく、
僕も他の観光客と同じように、別の場所へ向かったでしょう。
違う価値観の妻が一緒にいると、思わぬ付録があるのです。