お雛様を飾る

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我が家のお雛様は、お殿様とお姫様だけの木彫です。
質素な木彫りですから、色もほとんどありませんので、
周りで華やかさを出したいけれど、基本は何もありません。
そこで後ろに立てる屏風を、華やいだものにしたい、
と思ったのですが、ありきたりの金屏風では面白くない。

何か良いものはないかなと思って、ネットで調べても、
屏風だけの情報は、気に入ったものは見つかりませんでした。
妻が段ボールを使って、仮の屏風を作っているのを見て、
これをうまく使えば、個性的な屏風が作れるのではと考え、
上から何かを貼るなら、和紙が良いかもしれないと気づいたのです。

そこで先日、家族で平地区の温泉に出かけたときに見て回り、
およその目星をつけた和紙を、あらためて買いに行ってきました。
それを使って妻が仕上げたのが、この桜屏風になりました。
写真ではよくわからないけど、雰囲気も良い感じで、
何しろ手作りなのが嬉しいし、桜の花びらの感覚も良い。
周囲のごちゃごちゃは、我が家の日常が忍ばれます((^_^;)

さてこのお雛様のことは、昨日も少し書きましたが、
好ましい顔立ちを彫る、田中孝明さんに彫ってもいました。
彼は井波の木彫家の中でも、将来を嘱望される若手作家であり、
漆芸家の奥さんと共に、トモル工房を開いておられます。
この工房は、インターネット上にも公開サイトがあり、
孝明さんの木彫りのお顔も、見ることが出来るようです。

井波は元々木彫家が多いのですが、弟子入りする人も多く、
芸術家を受け入れる土壌から、様々な作家が住み着いています。
木彫家ばかりではなく、陶芸家や漆芸家などもいるし、
幸い空き家も増えているので、移住してくる人もいるのです。
僕なんかは、自然農をする人が来てくれると嬉しいけど、
空き家の斡旋や援助はあっても、新しく農業したい人に対して、
明確な援助システムのないのが、ちょっと残念な気がします。

井波の周辺には、多くの雇用を生む企業もありますから、
そうした企業の存在によって、人が集まってきたことも事実。
だけど企業が集まった理由として、すでに多くの人がおり、
労働者を集める基盤が、出来ていたといえるでしょう。
昔は瑞泉寺のおかげで人が集まり。住む人も大勢いたので、
労働者を集めるにも、集めやすかったと思われます。

信仰深くて穏やかで粘り強い、そんな風土ですから、
信頼もあって品も良い、これが井波に住む人の人柄でした。
文化を楽しみ誇りに思う人も多くて、お茶やお花や踊りなど、
習って楽しむ人が多いのも、雛にはまれな地域なのです。
こうした風土をどこまで繋げられるか、残念なことに、
今は過疎化が進んで、町中にも空き家が増えているのがさみしい。

飾り物は少なくていいので、質実質素に良いものを選び、
気持ちの良い暮らしが出来れば、それを風土にしていきたい。
そんなことを思いながら、日々の暮らしを続けていると、
また今年もお雛様を飾る季節になって、寒さも和らいでくる。
日々を元気に暮らせることに、あらためて感謝するのです。