富山大学環境塾

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「これからの循環型社会のあり方について考える」と副題がついて、
第10回富山大学環境塾が、大学五福キャンパス学生会館ホールで開催されました。
10回目ってことは、すでに様々なテーマで講座や講演会が開かれていたのでしょうが、
僕は今回初めての参加で、大学や行政の環境意識がどんなものかを聞いてきました。
基調講演は2つあって、鹿児島工業高等専門学校校長の丁子哲治さんによる、
「資源・エネルギー・人から考える廃棄物」というお話と、もう一つ、
富山県生活環境文化部環境政策課廃棄物対策班主査、八田哲典さんによる、
「廃棄物の3Rの推進について」と言うものでした。

丁子さんのお話は、以前に話題になっていた「ゼロエミッション」について、
廃棄物を財と見なすのは面白いけど、再利用するにはエネルギーコストが掛かり、
実社会の経済活動の中では、実現することは難しいという内容でした。
具体的にはどんな物質も、利用するたびにエクセルギー(利用可能力)が減少し、
エクセルギーを高めるには、そのためのエネルギーが必要になるということ。
また下水処理の将来的展望や、日本の人口を自然循環のみで考えた場合、
江戸時代の3000万人くらいが適度だったのに、今ではその4倍の人口を抱えており、
そのためには自然循環だけではない、様々なエネルギーが必要だという話。

八田さんのお話では、5月のG7富山環境大臣会合の裏話が面白く、
日本の丸川大臣も女性でしたが、世界的に見ても女性が多いのも興味深い。
彼は県の職員ですから、県の施策の説明が話の内容のほとんどでしたが、
レジ袋無料配布廃止、などの成果をことさら自慢げに話されたのを聞くと、
スーパーやコンビニのパックはどうなの? と余計なことが気になってしまいました。
こんなにあらゆるものをパックにして売るのは、日本とアメリカだけだと聞くし、
フランススペインなどのヨーロッパも、アジアアフリカの国々も、
こんな過剰包装はないのだから、レジ袋どころの話しではないと思うのです。

富山県富山大学、特に生協などの取り組みは興味深いものもあり、
僕らは具体的にできることを、実践することの大切さでは納得できます。
だけどどうしても最後まで気になったのは、こうしたゴミの減量という話しは、
そもそもどうして、こんなに大量のゴミを出す暮らしが必要なのか、
もっとゴミを出さない、もの自体を少なく暮らす方向性を考えたいのです。
経済との関係で言っても、経済は拡大しなければならないと思い込んでいるのか、
もっと小さい経済を目指した方が、循環型社会に近づける気がします。
なにかその根本的な価値観で、首をかしげることが多かった議論でした。

僕らは市民活動する者として、関心のある内容のお話も多かったのですが、
やっぱり行政や国立大学を預かる人たちの話は、不自由な感じがします。
もちろんすでに10回目と言うことなので、これまでにはもっと、
現代文明や県のあり方など、根源的な話しからの視点もあったかもしれないし、
そうであってもらわなくては困るのですが、少なくともこの日の話しには展望がない。
現状を知って、将来に何が可能かを考えることは大切だと思いますが、
それ以上に、なぜ循環型社会が必要なのかを根源的に考えることによって、
経済拡大を必須のこととしない、新しい社会のあり方が見えてくると思うのです。