死滅する珊瑚礁

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沖縄の八重山諸島にある、日本最大の珊瑚礁「石西礁湖」で、
調査した内97%の珊瑚に、白化現象が見られると発表がありました。
これから順調に海水温が下がれば、また珊瑚虫は戻るでしょうが、
台風が来て海を掻き回さないと、それも難しい状態だと言われます。
地球温暖化は確実に進行して、恒常的な海水温の上昇により、
およそ世界中の珊瑚礁が、絶滅の危機に瀕していると言うのです。

珊瑚礁は見て美しいだけではなく、多くの生き物を育んでおり、
その海洋資源に頼って暮らしている人は、世界中にたくさんいます。
こうした人たちは普段、お金に頼らなくても貝や魚や海藻を得て、
贅沢ではなくても、長年安定した暮らしを維持できていた。
それが温暖化によって、海水面の上昇と同時に海水温が上がり、
生きる糧の珊瑚礁を失ってしまう、かつてない危機に面している。

いつものことながら、沖縄の問題は日本の問題と考えないマスコミは、
この大変な事実を報道しないし、大きな問題と思ってさえいない。
八重山地方の平均海水温は、6~8月の平均で30.1℃となり、
気象衛星で観測を始めた82年以降で、最高の温度になったようです。
西表島西側の、白浜、網取、船浮湾内の珊瑚も、ほとんど白化して、
水中に雪が積もったように美しく、末期を迎えていると言います。

僕が初めて珊瑚礁の海に潜り、その美しさに感動してから、
すでに40年以上の年月が過ぎましたが、あの感動は忘れません。
石垣島に1年以上暮らし、新城島へ祭りを見に行ったときに、
何気なく潜ってみた珊瑚礁の、なんと美しかったことか。
それ以来海に潜ることは、たんなる獲物を捕ることではなく、
色とりどりに美しい生き物に会いに行く、そんな風に変化しました。

あれからスキューバダイビングも始め、世界のリゾート地で、
多くの魚に出会ってきましたが、八重山の多種緻密な珊瑚は美しい。
岸辺から泳いでいける場所に、様々な珊瑚が広がっており、
そこに集まる魚や貝の種類も多く、見ていて飽きない世界でした。
今までにも何度か、開発による赤土の流出やオニヒトデの繁殖などで、
珊瑚礁が大きくダメージを受けたときはありますが、温暖化は酷い。

僕は妻子を得た今でも、毎年石垣島へ行っているのですが、
年齢と共に体力も衰えてきているので、昔ほど楽には潜れない。
以前は水深20メートルまでなら、自由にもぐ入り込んで、
魚を追いかけて写真を撮り、貝を捕って食べたりしていました。
あの楽しみを次世代の人に伝えたいのに、珊瑚礁が滅びれば、
多くの感動や楽しみが、二度と誰も味わえなくなるのです。