迷走台風10号

イメージ 1

19日に八丈島東で発生した台風10号は、東の高気圧に押されて、
珍しく南西方向へ進んでいたと思ったら、また進路を変えました。
南大東島よりさらに南西へ移動して、大きく勢力を増してから北上を始め、
今来た道を戻るかのように、今度は本州上陸の方向にあるようです。
過去の台風進路を考えると、こんな進路を取ることもあるのかと、
不思議な気もしますが、海水温の上昇も無関係ではないのでしょう。

中心気圧は945ヘクトパスカルで、すでに北上を始めていますから、
これ以上勢力が増すことはないでしょうが、それでも最大風速45mです。
最大瞬間風速60mとなると、僕が石垣島で体験した最大風速で、
軽四の車はひっくり返り、風の通り道では電柱がなぎ倒されていました。
去年の秋にはさらに強い風で、宿の食堂の屋根が吹き飛んだと聞くし、
これだけの台風が来れば、また大きな被害が出るのは間違いないでしょう。

八丈島付近で台風が発生したときは、比較的小さかったですから、
まさかこんなに大きくなって戻ってくるとは、島民も思わなかったはず。
同じようなUターン台風としては、昭和49年の14号台風があって、
このときはいったん中国まで進んだあと、再び戻って東海に上陸しています。
中国上陸時は熱帯低気圧まで弱まりながら、沖縄近海で再び強まり、
もう一度台風となって北東へ進み、東海地方への上陸となったようです。

このところ砺波平野も雨が多く、まだ秋雨の季節でもないはずなのに、
降ったりやんだりの雨が続いているので、作物への影響も心配になります。
気象衛星ひまわりからの映像を見ても、日本海沿いから北海道にかけて、
濃い雨雲が連なっていますし、東北・北海道は既に前回台風で雨の被害もある。
日本列島というのは、地震・豪雪・台風・洪水・噴火・津波・・・等々、
世界でも有数の天災が多い場所だと、つくづく思わされるのです。

しかしながらこうした天災の多さが、住民をして助け合いの心を養い、
なんとか克服しようとして、様々な技術や方法を育ててきたとも言えます。
あまりにも何もない場所で生きるよりも、幾多の試練を乗り越えて、
生き延びていくことの方が、感動も多いし生きる実感もあるでしょう。
日本人や日本文化の面白味は、こうした自然の圧倒的な力を感じて、
それを自らの生活に取り入ながら、味わって暮らす醍醐味だと思います。